2003.06.10

USPSTFが痴呆スクリーニングGLを改訂、「エビデンス不足」により再度判断を保留

 米国予防医療専門委員会(USPSTF)は6月3日、プライマリ・ケアにおける痴呆のスクリーニングに関する改訂ガイドラインを発表した。新ガイドラインでは、1996年版ガイドラインに続き、「エビデンス不足」を理由に再び判断を保留。物忘れなどの痴呆関連症状のない外来受診患者をスクリーニング検査すれば早期痴呆の発見は可能だが、偽陽性も多く、早期治療の日常生活改善度も不明確だとした。

 USPSTFは、米国厚生省(HHS)の下部組織、Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ:医療分野の研究と質向上を支援する部門)の諮問機関。現在、1996年に発表した一連のガイドラインの総合的な見直しを進めている。ガイドラインの全文と、根拠となった臨床研究の解析結果は、Annals of Internal Medicine誌6月3日号に掲載された。

 今回のガイドライン改訂に当たっては、他のガイドライン改訂と同様、「メドライン」など代表的な医学論文データベースを用いた網羅的な論文検証(システマティック・レビュー)を実施。1994年1月から2002年9月までに発表された関連論文を対象に、外来診療現場での全例スクリーニングの意義を検討した。

 その結果、1.無症状の早期痴呆は(外来で簡便にできる)ミニ・メンタル・ステート検査(MMSE検査)でスクリーニングできる、2.MMSE検査の感度は高いが特異度は低く、陽性予測値(PPV:positive predictive value)は50%未満、3.初期アルツハイマー病では薬物療法で病状の進行を数カ月遅らせることができるが、日常生活における機能改善効果は不明、4.薬物療法の臨床試験対象者に効果があった治療が、スクリーニングで見付かった初期痴呆患者に当てはめられるかは不明−−などの点が判明。マススクリーニングの益と害のバランスを検証するだけの情報が、依然として足りないとの判断が下されている。

 このガイドラインのタイトルは、「Screening for Dementia: Recommendation and Rationale」。現在、こちらで全文を閲読できる。根拠となった網羅的レビュー、「Screening for Dementia in Primary Care: A Summary of the Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force」は、こちらまで(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

 なお、AHRQホームページ上の、「Screening: Dementia」からも、ガイドラインや関連情報を入手できる。(内山郁子)

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