2003.06.10

「エルシトニン」の市販後調査結果が発表、承認用量投与の骨折抑制効果検証できず

 旭化成は6月6日、骨粗鬆症治療薬として用いられている「エルシトニン注20S」(一般名:エルカトニン)の市販後調査について、中間解析結果を発表した。閉経後及び老人性の骨粗鬆症患者256人を対象に、「承認用量」と「低用量」とを比較する3年間の二重盲検試験で、両群の脊椎骨折発生率に有意差は認められなかった。

 この臨床試験は、1993年10月に同薬が骨粗鬆症治療薬として承認された際、市販後調査の一環として開始されたもの。骨粗鬆症の治療目的は骨折の予防だが、同薬は骨量の増加効果のみに基づいて承認されており、その時点では骨折抑制効果に関する明確なデータがなかった。そのため、患者を承認用量群と低用量群に無作為に割り付け、筋肉内注射を週1回行って3年間追跡、脊椎骨折発生率や腰椎骨密度の推移などを比較する臨床試験を実施した。

 対象患者数は、承認用量(エルカトニン20単位)群が126人、低用量(エルカトニン2.5単位)群が130人。1次評価項目の「投与開始から終了までの全脊椎骨折」は、承認用量群で87個、低用量群で61個生じ、患者一人1カ月当たりの骨折発生頻度比は1.497(p=0.130)と、むしろ承認用量群の方が多い傾向が認められた(有意差なし)。投与開始から6カ月間の骨折を除いた副次解析も同様で、骨折発生頻度比は1.369(p=0.290)となった。両群に有意差がなかったため、承認用量投与による骨折抑制効果は検証されなかった。

 2次評価項目である腰椎骨密度は、投与開始時と比べ3年後で約2%増加した。この増加率は承認時データとほぼ同様だが、興味深いことに、低用量群でも承認用量群並みの効果が認められた(有意差なし)。吐き気・嘔吐やほてりなどの副作用発現率は承認用量群が19.8%、低用量群が10.8%で、承認用量群で高い傾向はあるが有意差はなかった(p=0.0553)。なお、生化学検査値や自覚症状では「エルシトニン注20Sの有効性を示唆するデータが得られた」という。

 今回の結果を受け旭化成では、1.プラセボではなく同じ薬の低用量投与群を対照群としたことの試験結果への影響、2.試験規模−−など、試験計画の問題点について専門家の指導を受けつつ検討し、臨床試験を再実施する予定。ただし、既に骨折予防効果を示した骨代謝改善薬が市販されている現状を鑑みると、骨粗鬆症に伴う疼痛緩和ではなく骨折の予防を目的とした同薬の投与には、投与量も含め疑問符が付いたと言えそうだ。

 この件に関する旭化成のプレス・リリースは、こちらまで。臨床試験の詳細に関する資料もダウンロードできる。(内山郁子)

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