2003.05.14

【日本内分泌学会速報】 高尿酸血症の病型分類、4分の3の医師は「必ずしも行わない」

 昨年発表された日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」で実施が推奨されている、病型分類に基づく治療薬選択を行っている医師は、内科・整形外科標榜医の4分の1に過ぎないことがわかった。千葉県尿酸懇話会が、千葉県医師会の内科・整形外科標榜医1800人を対象とした調査による。調査結果は、5月11日のポスターセッションで、千葉大学医学研究院細胞治療学の龍野一郎氏らが発表した。

 高尿酸血症の診断・治療については、1996年に日本プリン・ピリミジン代謝学会(現:日本痛風・核酸代謝学会)のコンセンサス・カンファレンスで、いわゆる「6−7−8ルール」が勧告。これは、尿酸値が7mg/dl以上を高尿酸血症と診断し、8mg/dlを超えた場合に薬物療法を開始、治療目標値を6mg/dlとするというものだった。その後、2002年に学会ガイドラインが発表、1.合併症のない高尿酸血症に対しては薬物治療開始値を9mg/dlに引き上げる、2.病型分類(尿酸排泄低下型、尿酸産生過剰型)を行い、病型に応じた治療薬を選択する、3.尿pHの測定などの尿路管理を行う−−などの点が追加された。

 龍野氏らは、この新しいガイドラインが、臨床現場にどの程度普及しているかを調べるため、千葉県医師会に所属する内科・整形外科標榜医1769人に調査票を郵送。千葉県尿酸懇話会宛に返送してもらった。回収率は19.1%で、回答者は内科系が217人(64.2%)、整形外科系が97人(28.6%)、不明が24人(7.1%)。回答者の平均年齢は55.6歳だった。

 その結果、尿酸の正常値は3分の2の医師が「7mg/dl」、治療の開始基準は半数の医師が「8mg/dl」、治療目標値は痛風で「6mg/dl」(高尿酸血症では7mg/dl)が最多と、「1996年のコンセンサス・カンファレンスで勧告された“6−7−8”ルールが幅広く浸透している」(龍野氏)ことが判明。一方、2002年のガイドラインで推奨された病型分類は、「必ずしも行わない」との医師が75%に達することがわかった。

 高尿酸血症では、6割が尿酸排泄低下型、1割が産生過剰型で、3割は両型の混合型だとされる。しかし、病型分類を「必ずしも行わない」医師の薬剤選択では、尿酸合成阻害薬が67.4%と、尿酸排泄促進薬の23.1%を大きく上回った。薬剤選択には標榜科による違いもあり、内科では4分の3の医師が尿酸合成阻害薬を処方するのに対し、整形外科では半数強が尿酸排泄促進薬を処方していた。

 また、尿路管理については、尿pHの測定を6割の医師しか行っていないことが判明。腎障害や尿路結石を起こさないためには、尿pHを6〜7程度に保つことが大切で、特に尿酸排泄促進剤を処方する場合はアルカリ化剤の併用が望ましいが、アルカリ化剤の併用は阻害剤処方の23.7%、促進剤処方でも66.5%に留まった。

 龍野氏は「昨年発表されたガイドラインに明記されている、病型分類による薬剤選択の原則は、まだ十分に普及していない」と考察。尿路管理の重要性も含め、新ガイドラインに基づく、患者の病態に即した治療の啓蒙が必要だと強調した。(内山郁子)

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