2003.05.14

【日本内分泌学会速報】 2型糖尿病患者の骨密度、評価には橈骨の測定が有用

 2型糖尿病患者75人を対象とした検討で、橈骨の骨密度と、血糖コントロールとに負の相関があることがわかった。腰椎や大腿骨頚部の骨密度と血糖コントロールとの間には特に相関がみられず、これらの骨密度は体格指数(BMI)と強く相関していたことから、「2型糖尿病患者の骨塩量を評価する場合は、BMIの影響を受けにくく、血糖コントロール状態を反映する、橈骨などの前腕骨を用いることが有用」としている。研究結果は、5月11日の一般口演「骨・甲状腺5」で報告された。

 この研究を行ったのは、広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子内科学の田村朋子氏ら。田村氏らは、2000年7月から2001年6月に同大学附属病院に入院した2型糖尿病患者75人について、第2〜4腰椎、大腿骨頚部と橈骨の骨塩量を二重エネルギーX線吸収法(DXA法)で測定。同時に、血糖コントロール状態を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)値や骨代謝マーカーなどを測定し、血糖コントロールと骨塩量との関連を評価した。

 対象患者の平均年齢は58.3歳で、男性が42人、女性が33人。ステロイドや女性ホルモン、カルシウム剤など、骨塩量に影響を及ぼす薬剤の服用者は評価対象から除いた。HbA1cが8以上を「血糖コントロール不良」とすると、血糖コントロール良好群が32人(平均HbA1c:6.8)、不良群が43人(平均HbA1c:9.5)となった。

 血糖コントロールの良好群と不良群とで骨塩量を比較すると、腰椎や大腿骨頚部では有意差がなかったが、橈骨でのみ血糖コントロール不良群で有意に骨塩量が低くなった。橈骨の骨塩量は、HbA1cが高くなる、つまり血糖コントロールが悪化するほど少なくなったが、腰椎や大腿骨頚部の骨塩量にはHbA1cとの相関はみられなかった。一方、BMIは腰椎・大腿骨頚部の骨塩量とのみ相関がみられ、橈骨の骨塩量とは相関しなかった。

 骨代謝マーカーをみると、血糖不良群で骨形成マーカーのオステオカルシン値が有意に低く、骨吸収マーカーの尿中1型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)値が有意に高いことが判明。「血糖コントロール不良群では、骨吸収が亢進、骨形成が低下しており、骨代謝が負のバランスに傾いている」(田村氏)ことがわかった。

 腰椎や大腿骨頚部は、BMIが大きい、つまり体重が重いほど、重力負荷がかかって骨密度が上がると考えられている。重力負荷の影響を受けにくい橈骨でのみ、血糖コントロールと骨塩量との相関がみられたことから、「2型糖尿病患者の骨塩量を評価する場合は、橈骨など前腕骨を用いるのが有用ではないか」と田村氏らは考察している。(内山郁子)

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