2003.05.12

【日本内分泌学会速報】 原発性アルドステロン症による2次性高血圧、高血圧初診患者の6%に

 従来は極めてまれと考えられてきた、原発性アルドステロン症による2次性高血圧が、降圧療法を受けていない市中病院初診患者の6%を占めることがわかった。社会保険中央病院内科の大村昌夫氏らによる検討結果で、半数以上は手術で血圧が正常化しており、大村氏は「高血圧患者には全例、積極的なスクリーニングを行うべき」と提言している。研究結果は、4月10日のクリニカルアワー8「内分泌性高血圧のスクリーニング法−本態性高血圧と診断するまえに−」で報告された。

 原発性アルドステロン症は、副腎皮質に生じた腺腫からアルドステロンが過剰分泌され、重症で治療抵抗性の高血圧や低カリウム血症、代謝性アルカローシスなどを合併するとされる病態。1997年の厚生省(現・厚生労働省)特定疾患内分泌系疾患調査研究班の調べでは、日本の原発性アルドステロン症患者数は1450人と見積もられており、「日本人の高血圧患者3500万人に占める割合は0.004%」(大村氏)と、極めてわずかだと考えられていた。

 ところがここ数年で、高血圧以外に目立った症状がない原発性アルドステロン症が、高血圧患者の5〜10%を占めるとの複数の報告が出された。大村氏らも、原発性アルドステロン症との診断が確定した患者86人について、血圧分布や血清カリウム値、高血圧家族歴などを調べた。すると、原発性アルドステロン症の主要な症状とされる「低カリウム血症」は19%の患者にみられるのみで、41%ではむしろカリウム値が高い(4.0mEq/l以上)ことが判明。血圧分布では重症高血圧は42%に過ぎず、家族歴がない人も37%と、「重症で家族歴がない高血圧では2次性高血圧を疑う」との基準では原発性アルドステロン症を見落とす恐れがあることがわかった。

 そこで大村氏らは、高血圧を主訴に同病院を受診した、降圧療法を受けていない初診患者連続1020人に、原発性アルドステロン症のスクリーニング検査を実施。通常では“本態性高血圧”と診断されるこれらの患者のうち、どの程度に原発性アルドステロン症が含まれているかを評価した。

 ただし、血漿アルドステロン(PAC)値やレニン活性(PRA)は、採血時の姿勢や服用薬剤などに大きく影響される。そのため、大村氏らはまず、「降圧薬投与開始前、安静臥床30分後臥位」との条件でPACとPRAを測定(1次スクリーニング)。PAC>12.0ng/dlかつPRA<1.0ng/ml/時の人には、2次スクリーニングとしてフロセミド立位試験を行い、2時間後のPRA120が1.0ng/ml/時を超えた場合に入院下で精査した。

 その結果、1次スクリーニングで119人が、「高アルドステロン・低レニン」状態であることが判明。2次スクリーニングで83人に絞り込まれ、最終的に61人(6.1%)が、原発性アルドステロン症と診断された。腺腫が片側性の49人には病側の副腎切除術が行われ、うち36人では血圧が正常化した。高血圧の罹病期間が短く、腫瘍が小さい人ほど、術後に血圧が正常化する確率が高かった。

 大村氏はこれらのデータを踏まえ、「原発性アルドステロン症による二次性高血圧は、高血圧患者の6%を占め、積極的なスクリーニングで早期診断・早期治療が可能」と強調。高血圧患者全員に生涯降圧薬を処方するよりも、スクリーニング検査で原発性アルドステロン症を見付け、治療した方が医療費総額は安くなるとの概算を示し、全例スクリーニングは「医療費の節減にもつながり、決して内分泌科医の“趣味”的なものではない」(大村氏)と述べた。(内山郁子)

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