2003.05.09

モデムを利用して家庭と医療機関を結び糖尿病を管理

 1型糖尿病の管理をモデムによるデータ通信を利用して効果的に行えるとする報告が、University of Colorado Health Sciences Center (Denver, Colorado)のChase医師らのグループによって行われた。その成果は「Diabetes Care」5月号に掲載された。

 対象は、15歳から20歳までの70人の患者。コントロール群(33人)とモデム管理群(30人)とに分けて比較した。コントロール群の患者は、3カ月ごと(0、3、6カ月)に医療機関を受診し、一方のモデム管理群は、調査開始および終了時に医療機関を受診。3カ月目は受診せず、その代わりに、6カ月間、モデム(Acculink modem)を使って2週間ごとに血糖値を医療機関に送った。送られたデータは医師や看護師が分析し、その結果を踏まえて患者と治療法について連絡を取り合った。

 すべての患者のHbA1cレベルを開始時と6カ月後に測定した。血糖値の高い時(300mg/dl以上)と低い時(60mg/dl未満)の頻度、インスリンの投薬量の変更回数、運動の回数、低血糖などの起こる頻度などを追跡調査した。診療費や患者が使った費用、医師が費やした時間などをもとに、両グループで費用分析も行われた。

 6カ月の調査後で、両グループとも、HbA1c値が低下した(コントロール群;開始時8.9±1.1%、6カ月後8.6±1.2%。モデム群;開始時9.0±1.2%、6カ月後8.6±1.7%)。両グループ間で統計上有意差は認められなかった(p=0.96)。

 軽度から中程度までの低血糖の発生頻度は、コントロール群で平均1.4回/週、モデム群で1.5回/週と大差はなかった。重度の低血糖は起こらなかった。

 費用をみると、コントロール群の3カ月目の診療費(診察代および交通費など)は平均して305ドルだったのに対し、モデムグループの6カ月間のモデム使用料は163ドルであった。

 両グループ間での糖尿病治療の満足度(患者からの聞き取り調査による)はほぼ同じであり、血糖値のコントロール、低血糖などの発生頻度も似た結果が得られた。これらのことから、患者の負担する費用が半分になるモデムの活用は有益といえるであろう。

 また、今回対象となったような学齢期の患者に対しては、特に、医療機関に通うために学校を休んだり、親が仕事を休んだりすることも大きな負担となるだけに、モデムを利用して医療機関に通う回数が減ることは、患者にとって大きなメリットとなるに違いない。

 論文のタイトルは「Modem Transmission of Glucose Values Reduces the Costs and Need for Clinic Visits」現在、こちらで悦らすることができる(論文サイトの運営次第では、閲覧ができなくなっている場合があります。ご了承ください)。(千田柳子、医学レポーター)

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