2003.05.02

【SARS速報】 SARSウイルスの全塩基配列が論文化、Science誌ホームページ上で無償公開

 科学雑誌Science誌を発行する米国科学振興協会(AAAS)は5月1日、重症急性呼吸器症候群(SARS)患者から単離された新種のコロナウイルス(SARSウイルス)のゲノム解読に関する論文2報を、同誌5月2日号に掲載し、ホームページ上で論文を無償公開すると発表した。SARSウイルスの塩基配列は既にインターネット上で公表されているが、査読(ピアレビュー)を経た論文になるのは初めて。

 今回掲載・無償公開された論文は、カナダの研究グループと、米国を中心とする研究グループが、それぞれ別個に解読したゲノム配列に関するもの。配列はかなり似通っているが、塩基数は前者(Tor2 isolate)が2万9751、後者(Urbani isolate)が2万9727で、前者がわずかに長い。

 遺伝子構造はコロナウイルスに典型的なもので、5'末端側から順に、レプリカーゼ(ウイルスの複製酵素)、スパイク蛋白(ウイルスの外側に突き出した刺状構造)、エンベロープ(外殻)、膜蛋白、ヌクレオカプシド(ウイルスRNAを包む蛋白)をそれぞれコードする遺伝子が並んでいる。1.スパイク蛋白遺伝子とエンベロープ遺伝子との間、2.膜蛋白遺伝子とヌクレオカプシド遺伝子との間、3.ヌクレオカプシド遺伝子の下流−−には、非構造蛋白をコードする遺伝子配列が見出された。

 さらに、コロナウイルスはこれまで、遺伝子配列などに基づく系統分類で3群に分類されているが、SARSウイルスはどの群とも“似ていない”ことが判明。両グループとも、SARSウイルスは既存のコロナウイルスが突然変異したものではなく、全くの新種であると結論付けている。

 カナダグループの論文のタイトルは、「Characterization of a Novel Coronavirus Associated with Severe Acute Respiratory Syndrome」。米国グループの論文のタイトルは「The Genome Sequence of the SARS-Associated Coronavirus」。いずれも、Science誌ホームページの「Science Magazine: Progress on SARS」から全文をダウンロードできる。(内山郁子)

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