2003.05.01

【日本小児科学会速報】 小児科医の4割が「発熱患者には必ず抗生剤を出す」

 発熱があれば、ほぼ全員(>95%)に抗生剤を処方する小児科医が37%、使用する抗生剤の約5割が強力で抗菌範囲の広いセフェム系−−。とかく抗生剤の使い過ぎが指摘される日本の一般診療の実態がアンケート調査の結果、明らかになった。4月27日に開催された日本小児科学会学術集会の総合シンポジウム「耐性菌の時代における抗生物質の適正使用」のなかで、くさかり小児科(埼玉県所沢市)理事長の草刈章氏(写真)が報告した。

 この調査では、日本外来小児科学会の会員1518人から無作為抽出した506人に対して郵送でアンケートを送付した。回収数は159、回収率は31.4%。有効回答数は157。患者総数は3055人、うち2歳以下が56.5%、5歳以下が88.1%だった。

 調査は、2002年10月21〜26日の任意の1〜2日間に診療した上気道炎患者、連続20人分について、性別、年齢、症状の有無、処方抗生剤の薬品名を記載してもらい、FAXで回収した。対象患者は、15歳以下で発症72時間以内の初診、発熱、鼻汁、咳、咽頭痛のいずれか一つ以上の症状を有する者とした。

 その結果、3055人全員のうち、47.2%に当たる1443人に対して抗生剤が処方されており、「かぜでお医者さんに行ったら抗生物質をもらう」という実態が分かる。症状別の対応を見ると、鼻汁症状がある患者に対する抗生剤処方率は44.3%、咳の患者に対しては同じく46.5%だが、発熱がある場合は66.1%、咽 頭痛がある患者には75.2%に対して抗生剤が処方されていた。

 一方、医師ごとの処方率について見ると、95%以上の患者に抗生剤を処方している医師が13%いる。発熱のある場合に限ると、37%の医師がほとんど(95%以上)の患者に抗生剤を処方しており、「熱があれば抗生剤」が常識になっていることが分かる。半面、発熱があっても抗生剤処方は5%未満という医師も9%いた。

 処方する抗生剤はセフェム系が最も多くて約48.5%、ついでマクロライド系で28.4%、ペニシリン系20.8%の順だった。草刈氏は「セフェム系は味が良く、小児に好まれるために日本では多用されている」と指摘する。

 抗生剤の使用目的については、「溶連菌感染と中耳炎の治療」が93%と最も多く、ついで「細菌感染症が否定できない」が63%(重複あり、以下同)だったが、「二次感染の予防」(26%)や「重症感染症の予防」(16%)など予防的投与も少なからず実施されていることがわかった。さらに「家族の要望」も6%あり、特定の薬を患者が要望し、医師がそれを処方している実態があることが示された。(中沢真也)

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