2003.04.22

【日本感染症学会速報】 高齢のCOPD患者へのインフルエンザワクチン接種で医療費を12万円削減可能

 高齢のCOPD患者へのインフルエンザワクチン接種によって、医療費を12万円削減可能とする発表があった。4月17日から福岡市で開催されている日本感染症学会総会で、亀田総合病院呼吸器内科の金子教宏氏(写真)が報告したもの。65歳以上のCOPD患者において、インフルエンザワクチンを接種した患者群と非接種の患者群を比較、接種群では肺炎による入院と喘息発作が少なく、一人当たり約12万円の医療費を削減できたと推定した。

 金子氏らのグループは、同科に定期通院中の65歳以上の患者847人のうち、喫煙歴のあるCOPD患者(1秒率70%未満)289人を対象として、インフルエンザワクチン接種とインフルエンザ流行期間中の肺炎による入院と、喘息発作による入院と予定外通院の回数、および直接医療費を後ろ向き研究手法で比較した。接種群と非接種群の割り付けは、患者の希望に従った。

 接種群189人と非接種群100人の間では、男女比には有意差はなかったが、年齢は接種群が平均75.3歳、非接種群は73.6歳で有意差があった。また、接種群では在宅酸素療法を受けている患者が45人、非接種群では9人で接種群が有意に高く、喘息の既往歴では有意な差はなかった。

 2002年1月第1週から同年4月第1週までのインフルエンザ流行期間中の肺炎と喘息発作による入院、通院の回数を比較したところ、接種群では肺炎による入院が8人(4.2%)だったのに対し、非接種群では14人(14%)で接種群が有意に少なかった。また、喘息発作による予定外通院については、接種群の5.8%に対して非接種群では23%、喘息発作による入院では、接種群が2.6%に対して非接種群が6%と、いずれも有意に接種群の方が低かった。

 この間の入院に関する直接医療費を比較したところ、接種群では入院一人当たり73万9063円だったのに対して、非摂取群は80万9676円であり、対象者一人当たりでは、接種群の4万6925円に対して非接種群は17万32円となり、接種群の方が、一人当たり12万3107円医療費が少なかったことになるという。(中沢真也)

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◆市中肺炎診療の実態調査2003

 MedWaveは今年も「市中肺炎診療の実態調査」を実施致します。本調査は、医療現場の第一線で活躍されている先生方に、外来で遭遇する肺炎(市中肺炎)の診療方針や考え方、抗菌薬の処方経験、市中肺炎診療に関する情報ニーズなどをお伺いし、市中肺炎診療の実態を明らかにすることを目的としております。調査結果は後日、MedWave等で紹介する予定です。ご多忙のところ恐縮ですが、何卒ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
◇アンケート画面は以下です。
http://webres.nikkeibp.co.jp/user/MW203122.html
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