2003.04.22

看護師による副作用報告、質・量共に医師に匹敵−英調査

 約800人の看護師を対象にした英国の調査研究で、看護師による医薬品の副作用報告が、報告件数や報告の質という観点で、医師による報告とほぼ同水準にあることがわかった。英国では昨年10月から看護師による副作用報告が可能になったが、医薬品の副作用モニタリングを進める上で「看護師は大きな役割を果たし得る」と研究グループは強調している。研究結果は、Lancet誌4月19日号に掲載された。

 医薬品の適正使用を促進する上で欠かせないのが、臨床現場における副作用のモニタリングだ。限定された患者群に対する短期間の臨床試験ではわからなかった、思いがけない副作用が見出されることも少なくない。英国では30年以上前から、製薬企業による市販後調査に加え、医師、歯科医師、薬剤師、検死官による副作用報告制度が根付いている。

 さらに2002年10月からは、これら4業種に加え、看護師も副作用を報告することが可能になった。しかし、看護師による副作用報告を認めるかどうかは国により様々で、報告の質などを評価したデータはほとんどなかった。

 英国Liverpool大学のSally Morrison-Griffiths氏らは、地域の看護師に副作用報告制度の評価に関する研究への協力を要請。副作用報告制度に関する1時間の講義を受講した上で、1〜2年に渡り現場で気付いた副作用を報告してもらった。報告の際には主治医の同意を得るよう依頼した。

 研究に協力した看護師763人からは、調査期間中に総計177件の副作用報告が提出された。研究グループは、報告内容の正確さや記入漏れの有無などを評価し、同時期に同じ地域から提出された医師の副作用報告と比較した。

 その結果、「適切」と判断された副作用報告の比率は、看護師による報告の77%を占め、医師による報告(984件中676件、69%)とほぼ同程度であることが判明。年間報告件数も、看護師では7人当たり1件と、医師(8人当たり1件)とほぼ同じだった。看護師の報告に主治医が同意しなかったのは3件だけで、医師と看護師との報告事例が重複したのも1件だけだった。

 もちろん、この調査はモデル事業的な形で行われたもので、ある程度“選ばれた看護師”が対象。結果を全ての医療現場に外挿はできないだろう。とはいえ、副作用報告制度の一端を看護師が担うことで、質の低下や重複事例の増加などをほとんど伴わずに、より幅広い副作用を拾い上げられる可能性が示唆されたことも事実だ。

 わが国では1997年に副作用報告制度が改訂され、モニター施設のみから副作用事例を収集する「医薬品副作用モニター制度」から、全ての医療機関・薬局を対象とする「医薬品等安全性情報報告制度」へと変わった。ただし、報告者は医師、歯科医師、薬剤師に限定されており、今のところ看護師が加わる予定はない。

 制度の改訂目的は報告件数を増やすことで、報告件数はモニター制度時代の年間2000件前後から、年間5000件前後へと増加した。しかし、これは英国の年間2万件には遠く及ばない。英国では昨年10月、看護師(保健師、助産師を含む)にも報告の門戸を開くだけでなく、インターネットによる副作用報告(electronic Yellow Card)の受け付けも開始している。このような一段踏み込んだ取り組みが、医薬品の適正使用を進め、国民の健康を守るために大切ではないだろうか。

 この論文のタイトルは、「Reporting of adverse drug reactions by nurses」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。わが国の医薬品副作用制度改訂に関してはこちら、英国の副作用報告制度についてはこちらまで。(内山郁子)

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