2003.04.21

【SARS速報】 「リバビリンの推奨投与法」が論文化、カナダ医師会雑誌がオンライン公開

 重症急性呼吸器症候群(SARS)の実験的な治療法として、カナダや香港で試みられている、抗ウイルス薬リバビリンの推奨投与法が発表された。カナダ医師会の学術誌、Canadian Medical Association Journal(CMAJ)誌上で、このほど論文がオンライン公開された。

 リバビリン(わが国での商品名:レベトール、経口剤のみ)は、C型慢性肝炎の治療(インターフェロンαとの併用)のほか、海外では呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)感染症の治療薬としても使われている抗ウイルス薬。SARSの症状が、RSウイルスの下気道感染で起こる病態と似ていたため、ステロイドと併用する形で実験的な投与が行われていた。

 論文では、成人・小児のそれぞれについて、現時点で推奨されるリバビリンの投与量や投与方法を紹介。成人にはまず静脈内投与を3日間行った後、経口剤を7日間投与。小児では静脈内投与またはエアロゾル化剤の吸入を行うよう推奨した。成人の推奨投与量は、腎機能(クレアチニン・クリアランス値)により3段階に分かれている。

 さらに、リバビリンが禁忌あるいは慎重投与となる患者として、妊婦(妊娠の可能性がある女性を含む)、リバビリンへのアレルギー歴を持つ人、異常血色素症や不安定狭心症、痛風がある人、腎機能が悪い人を挙げた。

 ただし、リバビリンが本当にSARSに効くかどうかは現時点では不明。試験管内の感受性試験ではネガティブな結果が出ており、カナダ及び香港での使用経験(関連トピックス参照)からも、「効く」と結論付けられるほどのデータは得られていない。

 こうした現状を踏まえ、論文を執筆したカナダ病児病院のGideon Koren氏らは「リバビリンの効果やSARSの最適な管理法に関し、より詳しい情報が得られるまでは、リバビリンの投与は比較的重症な患者に限定するべき」との見解を提示している。

 この論文のタイトルは、「Ribavirin in the treatment of SARS: A new trick for an old drug?」。現在、こちら(PDF形式)で全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

 なお、CMAJ誌ホームページにはこの論文のほか、SARSのスクリーニング目的で医療関係者6000人に「電子問診」を行ったOntario州保健省の試みなど4報の論文が掲載されている。併せて、カナダ国内のSARS動向を集約した「Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS) Update」を掲載、平日(月〜金)は毎日更新している。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.4.4 SARS速報】NEJM誌、オンラインでSARS関連の原著2編とエディトリアル2編を先行掲載

■ SARSダイレクト ■
◆ 2003.4.18 緊急情報】 重症急性呼吸器疾患(SARS)ダイレクト
感染症情報センター、疑い例、可能性例、およびその接触者の管理例を掲載、ほか


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