2003.04.16

【日本産科婦人科学会速報】 ホルモン療法での血栓症、OCでは服用早期に要注意

 更年期のホルモン補充療法(HRT)や経口避妊薬(OC)服用などのホルモン療法では、まれな副作用として血栓症を起こすことがあるが、OC服用による血栓症の発症時期は服用早期に集中していることがわかった。東京女子医科大学産婦人科の安達知子氏らによる調査結果で、4月14日のポスターセッションで発表された。

 安達氏らは、日本産婦人科医会の定点モニター施設1083カ所に対し、過去10年間にOCやHRTなどによるホルモン療法中、深部静脈血栓症や心筋梗塞、脳卒中などの血栓症を経験したかを調査。「経験あり」と回答した施設に対し、起こした血栓症の種類や発症までの投薬期間などを尋ねた。回収率は71%。

 その結果、「経験あり」と回答した施設は5%で、95%の施設では10年間に一度も血栓症発症例がないことが判明。血栓症発症時に行われていたホルモン療法は、半数強がOCで、4分の1はHRTだった。OC服用中の血栓症の7割は静脈血栓塞栓症だったが、HRT施行中では静脈血栓塞栓症と動脈血栓塞栓症がほぼ半々の割合で起こっていた。OCで血栓症を発症した年代は40歳代が6割弱を占めた。

 次に安達氏らは、血栓症発症までの投薬期間を分析した。すると、OC服用者が血栓症を起こした時期は、服用開始から1カ月未満が4割弱、1〜2カ月が1割、2カ月〜1年が3割弱と、服用1年以内に4分の3のケースが集中していることが明らかになった。一方のHRTでは、「WHI」(Women's Health Initiative)研究(関連トピックス参照)の結果とは異なり、「開始早期に血栓症が多い」との傾向は認められなかった。

 なお、OCではホルモン含有量の少ない低用量ピルが、1999年以降は使用可能になったが、血栓症の発症傾向に中用量ピルとの違いは認められなかった。HRTも、ホルモン投与法の違いが発症率に影響したかどうかは不明だった。

 処方数から推計した血栓症の発症率は、OCで0.004〜0.014%、HRTで0.002〜0.003%と、いずれも極めて低い。しかし、「OC服用者に血栓症が生じる場合、4割弱は投与開始から1カ月以内に起こる」と安達氏は強調。こうした副作用が起こりうることを本人によく説明した上で、「初回から数カ月分を処方せず、まずは1シートだけを処方。1カ月後に来院した際に、改めて頭痛や足の痛みなど、血栓症で生じうる症状が起こっていないかを確認するなど、少なくとも最初の1カ月は特に慎重な経過観察を行うべき」と話した。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.7.11 NHLBIが臨床試験「WHI」を早期中断、ホルモン補充療法に乳癌、心血管疾患の予防効果なし

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