2003.04.11

【SARS速報】 CDC−WHOとドイツグループの「新種コロナウイルス」が一致、論文2報がNEJM誌で早期公開

 New England Journal of Medicine(NEJM)誌は4月10日、米国疾病対策センター(CDC)−世界保健機関(WHO)グループと、ドイツBernhard Nocht研究所(BNI)を中心とする研究グループによる、SARS患者から単離した新種コロナウイルスに関する原著論文2報をホームページ上で早期公開した。両グループが個別に単離した新種コロナウイルス断片の遺伝子配列は一致し、同じウイルスであることが確かめられた。

 CDC-WHOグループは、香港やカナダ、ベトナムなど6カ国のSARS患者から採取した唾液や血液、組織などを検索。一人の患者の咽頭ぬぐい液からコロナウイルスを単離した。コロナウイルス科ウイルスの共通プライマーを用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR法)による検討で、このウイルスが、これまで知られているどのコロナウイルスとも異なる新種であることが判明。新種ウイルスに特徴的な配列を用いたプライマーを設計、RT-PCR法で他の患者から採取した検体を調べたところ、12人から同じ新種コロナウイルスが見付かった。

 一方のBNIグループは、香港から来たSARS患者をシンガポールで診察、米国ニューヨークで発病し、飛行機の乗り継ぎ地であるドイツ・フランクフルトで入院した32歳の医師とその妻、妻の母から新種のウイルスを単離。RT-PCR法などでウイルス遺伝子断片をランダムに増幅し、遺伝子配列を調べたところ、コロナウイルス科に特徴的な配列が含まれていることを見出した。断片の配列をCDCが報告した断片配列と比較したところ、両者が一致することが判明したという。

 両グループともこの新種ウイルスが、SARSの発症に深く関与しているとみている。CDC-WHOグループは新種ウイルスを、ハノイの病院でSARS患者を診察し、SARSに感染して亡くなったWHOの医師Carlo Urbani氏にちなんで「Urbani SARS-associated coronavirus」と命名するよう提唱している。

 なお、先にカナダの研究グループなどが発表した「パラミクソウイルス原因説」(関連トピックス参照)に関しては、両グループの見解は大きく分かれる。

 CDC-WHOグループは、1.患者検体の大半からはヒトメタニューモウイルスを含むパラミクソウイルスは検出されなかった、2.カナダの患者から新種コロナウイルスが検出された−−との2点を挙げ、パラミクソウイルス原因説を否定。BNIグループは、発端者からは新種コロナウイルスのほか、クラミジア・ニューモニエとパラミクソウイルス様ウイルスが見出されたことを挙げ、現時点では後2者もSARS発症への関与を否定できないとしている。

 CDC-WHOグループの論文のタイトルは、「A Novel Coronavirus Associated with Severe Acute Respiratory Syndrome」。BNIグループの論文のタイトルは「Identification of a Novel Coronavirus in Patients with Severe Acute Respiratory Syndrome」。いずれもNEJM誌5月15日号に掲載予定で、現在こちらから全文をダウンロードできる。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.4.4 SARS速報】NEJM誌、オンラインでSARS関連の原著2編とエディトリアル2編を先行掲載

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