2003.04.11

メトホルミンの糖尿病予防効果、4分の1は一時的−−DPP追加試験より

 米国で行われた糖尿病予防試験「DPP」(Diabetes Prevention Program)の参加者のうち、試験終了時に糖尿病を発症していなかった人を対象に行われた追加試験で、ビグアナイド系薬のメトホルミン(わが国での商品名:メルビン、グリコランなど)を1〜2週間断薬すると、一部の対象者では耐糖能が下がってしまうことがわかった。断薬期間も含めた「メトホルミンによる糖尿病予防効果」を断薬前と比較すると、26%は一時的な効果とみなせるという。研究結果は、Diabetes Care誌4月号に掲載された。

 「DPP」試験は、約3200人の耐糖能異常(IGT)者を対象に、1.標準的な生活指導+プラセボ(対照群)、2.標準的な生活指導+メトホルミン、3.強力な生活指導−−の3種類の介入を行い、糖尿病の発症遅延効果を比較した無作為化試験。この試験からは、対照群と比べメトホルミン群では3年間で3割、強力な生活指導群では6割、糖尿病の発症を抑制できることがわかった(関連トピックス参照)。

 しかし、よく知られているように、メトホルミンには多彩な膵臓外作用を通して血糖値を下げる効果がある。同試験では糖尿病の発症を、血糖値(空腹時および経口糖負荷試験=OGTTの2時間値)で診断しており、メトホルミン群で示された糖尿病予防効果は多少割り引いて考えるべきとの意見もあった。

 そこで研究グループは、「DPP」試験で対照群またはメトホルミン群に割り付けられた2155人のうち、試験終了時に糖尿病を発症していなかった1609人に協力を要請。プラセボまたはメトホルミンを1〜2週間断薬した後、OGTTを2回繰り返し受けてもらい、断薬による耐糖能への影響に差が現れるかを調べた。最終的な試験協力者は1274人で、対照群が606人、メトホルミン群が668人。

 その結果、1190人は断薬後の検査でも糖尿病とは診断されなかったが、78人は糖尿病と診断された。断薬期間に糖尿病と診断された人の比率はメトホルミン群で多い傾向があり、統計学的な差はないものの1.49倍(95%信頼区間:0.93〜2.38)となった。

 ただし、断薬期間も含めたメトホルミン群の糖尿病発症者比率は、依然として対照群より25%低くなった。これを試験終了時(31%低下)と比べると、効果の26%はメトホルミン服用中の一時的な血糖降下作用によるものとみなせることがわかった。なお、「DPP」試験における糖尿病予防効果の主因は減量と考えられているが(関連トピックス参照)、断薬期間中の体重変動については論文に記載されていない。

 研究グループは「当初示された糖尿病予防効果のおよそ4分の1は、断薬後には持ち越されない薬理学的な効果であることがわかった。しかし、それを含めても糖尿病発症率は対照群より25%低く、“メトホルミンがIGT者の糖尿病発症を防ぐ”というDPP試験の結論は変わらない」と強調している。

 この論文のタイトルは、「Effects of Withdrawal From Metformin on the Development of Diabetes in the Diabetes Prevention Program」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.2.13 生活指導やビグアナイド系薬でハイリスク者の糖尿病発症が抑制−DPP試験より
◆ 2002.9.5 EASD学会速報】2型糖尿病の発症予防の鍵は「減量」、1kgやせればリスクが13%低下−−DPP試験より

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.1.21 DPP試験の介入コストは直接医療費で約2500〜2800ドル、総額で約2万6000〜2万7000ドル

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