2003.04.10

【SARS速報】  香港のマンション集団感染、閉鎖前に116家族が脱出していた

 重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行している香港では、新たに複数のマンションで感染者が発生するなど、市中の感染拡大に歯止めがかからない。そのなかで香港警察が隔離該当住民を公開捜索するという「事件」があった。住民を探し出して保健当局への連絡を要請するまでに、警察は1週間を要した。その間に新たな感染を引き起こした可能性もある。いったん大都市圏に広がった感染症の拡大を防ぐことがいかに難しいかを示している。

 香港警察当局は4月4日、大量のSARS患者が発生したことで封鎖された九龍地区の大規模マンション群「アモイガーデン」E棟の住民のうち、封鎖前に「脱出」した113家族に対し、当局に連絡をとるよう呼びかけを行なっていることを明らかにした。4日時点で既に55家族と連絡がついていたものの、残り58家族が不明だった。その後、7日になって警察はこれらの家族との連絡がついたという声明を出し、公式には、捜索は無事決着した。

 アモイガーデンでは3月28日頃から多数の住民がSARSを発症して入院しており、身近に感染者が相次いで発生したことを恐れた住民が大挙して「脱出」を図ったものとみられる。

 住民たちにとってみれば、自分や家族を守るために、多数の感染者が発生した環境からいち早く逃れようとするのは無理もないことなのだが、感染の可能性が高いハイリスクグループがさらに多くの人々と接触すれば、流行に拍車をかけることになる。香港政府が警察を動員して捜索に乗り出したのもまた当然のことだ。

 なお、アモイガーデンE棟の封鎖は4月9日深夜で解除になった。しかし、4月10日現在もアモイガーデンから一人のSARS患者が病院に収容されている。香港の累計患者数は998人、死亡者は30人になった。(中沢真也)

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