2003.04.09

【SARS速報】  高年齢者ほど重症化しやすい−−香港の報告から

 香港中文大学医学部のNelson Lee氏らは、香港Prince of Wales病院における138人のSARS患者について、感染の経緯、臨床所見、検査データ、胸部X線とCTによる画像所見、肺組織所見などをまとめ、4月7日付けのNew England Journal of Medicine誌(オンライン版)に発表した。そのなかで、SARSにかかった場合、重症化するリスクを高める要因として、高年齢、好中球数が多い、LDHの値が高い、の三つがあることが明らかになった。

 同病院では、3月4日に九龍地区のメトロポールホテルで感染した26歳の男性患者が入院した後、3月10日頃から、数十人の医療スタッフを含む100人以上の重症急性呼吸器症候群(SARS)患者が発生した。SARS患者はすべて隔離病棟に収容され、3日間以上、平熱が維持されるまで、毎日、血液検査と胸部X線撮影が実施された。

 臨床所見については、先行して報告されている二つの研究(関連トピックス参照)とほぼ同様で、患者全員に発熱が見られたほか、73.2%に悪寒または硬直、57.3%に咳、55.8%に頭痛などインフルエンザ様の症状が見られた。血液検査データでは、白血球数とリンパ球減少、血小板数などの減少、クレアチンキナーゼ(CK)上昇などが見られるなど、細菌性肺炎とは明らかに異なる所見が見られた。また、発熱時の胸部X線所見では、患者の78.3%に何らかの異常が見られた。病状の進行にしたがって、スリガラス様所見が複数見られるようになり、面積も増大した。

 138人のうち、23.2%に当たる32人は重症化し、呼吸逼迫が見られたり、肺画像所見や血中酸素濃度が劇的に悪化してICUに送られた。症状悪化に至った平均日数はわずか6.5日(発症後か入院後かは原文に記載なし)で、SARSの症状進行が極めて早いことがわかる。患者の大量発生から21日目までに5人が死亡した。

 Lee氏らが、重症化してICUでケアを受けたか、死亡した患者とそれ以外の患者の属性を比較したところ、ICU患者の平均年齢が50.2歳であったのに対して非ICU患者が36.1歳であるなど、いくつかの項目で有意差が見られた。多変量解析によって、重症化の独立因子を求めたところ、年齢と好中球数、LDH値の三つであることが判明した。死亡した5人はすべてほかの基礎疾患を持っていたが、基礎疾患の有無は重症化の因子としては有意な差が見られなかった。

 この論文のタイトルは「A Major Outbreak of Severe Acute Respiratory Syndrome in Hong Kong」。原文はこちらまで。(中沢真也)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.4.4 SARS速報】
NEJM誌、オンラインでSARS関連の原著2編とエディトリアル2編を先行掲載

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