2003.04.07

【日本医学会総会速報】 ヒヤリ・ハット事例収集を全医療機関で実施、安全管理に関するシンポで厚労省が方針示す

 4月5日に開催されたシンポジウム「医療の現場における安全、安心の取り組み」で、厚生労働省医政局総務課医療安全推進室長の新木一弘氏は、「ヒヤリ・ハット事例収集」事業の実施対象を、今年度の半ばから全医療機関に拡大する方針を明らかにした。同事業は2001年秋からスタートしたもので、収集事例を分析することにより、再発防止に取り組むことを目的としている。現在は特定機能病院と国立病院・療養所からの報告に限られている対象を広げることで、収集報告数を増やすことを狙う。

 同事業では現在、特定機能病院などから、1.コード化された情報(注射に関するミスなど比較的発生しやすい事例別にコード化)、2.重要事例情報、3.医薬品等情報−−の三つに分けてヒヤリ・ハット事例を収集している。今後は、新たに決める定点病院からこのコード化された情報を収集するとともに、全医療機関から「記述方式」で広範囲にわたる事例を上げてもらう。

 このほか新木氏は、今年度の医療安全対策として、1.医療の事故事例の収集の実施、2.医療安全支援センターの全都道府県設置−−の二つにも取り組むとした。

 「医療の事故事例の収集」に関しては、厚労省の検討会で議論が進められており、新木氏は4月中には報告書をまとめるとの意向を示した。ヒヤリ・ハット事例と同様に、事故事例の収集・分析を通じて、再発防止につなげることを目指す。報告書には、事故の発生率を把握するための調査研究や、事故を繰り返す「リピーター医師」の処分のあり方の検討の実施なども盛り込む予定。

 もう一つの目玉である「医療安全支援センター」は、2003年度から全都道府県、保健所設置市区などに設ける機関で、患者からの相談・苦情を受け付ける。各地で設置に向けた準備が進められているが、その要となる相談役には臨床経験が豊富な人材がふさわしいとした。

 なお、新木氏の講演に対して、フロアの医師からは医療の安全確保にかかるコスト負担のあり方に関する質問が出された。新木氏は、「現状では全国でいったい何件の医療事故が起こっていることすら分からない。事故の発生率や安全確保に必要なコストなど定量的な検討を進めた上で、その負担のあり方を議論していく」と答えるに留めた。(橋本佳子、日経メディカル

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