2003.04.04

【SARS速報】 NEJM誌、オンラインでSARS関連の原著2編とエディトリアル2編を先行掲載

 重症急性呼吸器症候群(SARS)患者が香港で発生し、世界中に飛び火してから1カ月余だが、早くも、詳細な臨床経過を報告した二つの原著論文が、New England Journal of Medicine(NEJM)誌のホームページに掲載されている。主要な感染地域である香港とカナダにおいて連鎖的に感染した患者群に関する臨床報告で、これまで正確な情報が手に入らなかった感染の経緯や臨床的経過、投与薬剤について知る貴重な手がかりになりそうだ。

 香港大学医学部のKenneth W. Tsang氏らは、中国広東省から香港に来訪して九龍地区のホテルに滞在した香港最初の患者とこの患者から感染した9人について、感染の経緯、症状、微生物学的検査、CTと胸部X線像、抗生剤や抗ウイルス剤による治療とその反応などをまとめている。Tsang氏らは、クラミジア、レジオネラ、マイコプラズマ、アデノウイルス、インフルエンザなど多数の検査を行い、これらの関与を否定した。

 彼らの知見から、SARSの名前の由来となった短い潜伏期間や発症後の急速な増悪、そして新興ウイルス関与の可能性などが明らかになったことが分かる。

 一方、Toronto医学研究所・Mount Sinai病院微生物学部のSusan M. Poutanen氏らは、香港から帰国後発症した夫婦とその家族、担当医などを中心にカナダのSARS患者について報告している。こちらの報告では、感染の経緯、臨床像とともに、PCR法による病原ウイルス探索について詳しく述べており、ヒトメタニューモウイルスを最有力とした経緯を知ることができる。

 ここで紹介した2編の原著論文と2編のエディトリアルは、雑誌掲載に先行してオンラインで全文が提供されている。タイトルは下記のとおり。原文はこちらまで。

 香港の臨床例を報告した論文のタイトルは、「A Cluster of Cases of Severe Acute Respiratory Syndrome in Hong Kong」。カナダの臨床例を報告した論文のタイトルは、「Identification of Severe Acute Respiratory Syndrome in Canada」。

 疾患に対する世界保健機関(WHO)と各国の研究機関−特に米国疾病対策センター(CDC)の活躍を簡潔に紹介したエディトリアル、「Faster…but Fast Enough? Responding to the Epidemic of Severe Acute Respiratory Syndrome」と、上記2編の原著を概観した「Case Clusters of the Severe Acute Respiratory Syndrome」も閲覧することができる。

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