2003.04.03

軽症持続型喘息への低用量吸入ステロイド、発症早期からの開始で急性増悪発作を4割減−−「START」研究

 発症2年以内の軽症持続型喘息患者7000人を対象としたプラセボ対照無作為化試験で、3年間に重篤な急性増悪発作を起こす人の割合が、低用量吸入ステロイド群で4割少ないことが判明した。気管支拡張薬使用後の努力呼気1秒量予測値(%FEV1)は、両群とも低下したものの、実薬群の方が低下幅が少なかったという。発症早期からの吸入ステロイド導入の有用性を示唆する結果で、大きな注目を集めそうだ。研究結果は、Lancet誌3月29日号に掲載された。

 軽症持続型の喘息患者に対しては、国外だけでなく日本のガイドラインでも、低用量(プロピオン酸ベクロメタゾン=BDP換算で1日200〜400μg)の吸入ステロイド治療を行うことが推奨されている。また、中等症〜重症の喘息に関しては、発症早期から吸入ステロイド治療を行うと、急性増悪発作回数を減らせるなどのメリットが大きいとの報告がある。しかし、軽症の患者に関しては、早期からの吸入ステロイド導入に臨床的なメリットがあるかどうかはわかっていなかった。

 そこで計画されたのが、発症2年以内の軽症持続型喘息患者を対象に、長期間の追跡を行う大規模試験「START」(Inhaled Steroid Treatment as Regular Therapy in Early Asthma Study)。対象患者7241人を無作為に2群に分け、一方にブデソニド(わが国での商品名:パルミコート)、他方にプラセボを1日1回吸入してもらい、3年間追跡して予後を比較した。必要に応じ、吸入ステロイドを含む他薬の併用を許した。

 ブデソニドの1日量は成人が400μg(BDP換算で400μg)、小児(5〜10歳)は200μg。対象患者の年齢は5〜66歳(平均24歳)で、小児が3割弱、青少年(11〜17歳)が2割弱含まれている。男女比はほぼ半々で、人種は白人が65%と他試験より比較的少なく、アジア人が3割弱と多い。発症から患者登録までの期間は、1年超が34%を占める一方、3カ月未満も36%含まれていた。

 追跡期間中の脱落者は、プラセボ群(3599人)が1020人、ブデソニド群(3597人)が990人で、脱落率は両群合わせて28%とかなり高い。平均追跡期間は2.4年で、解析は脱落者も含めた形(intent-to treat)で行った。

 その結果、追跡期間中に重篤な急性増悪発作を起こした人は、プラセボ群が198人(5.5%)、ブデソニド群が117人(3.3%)。ハザード比は0.56(95%信頼区間:0.45〜0.71)となり、低用量ブデソニドの吸入で、急性増悪発作の発症者数を減らせることが明らかになった。

 一方、気道閉塞の進行状況をよく反映する「気管支拡張薬使用後の%FEV1」は、1年目と3年目に測定が行われたが、どちらのタイミングでもプラセボ群、ブデソニド群ともに当初より低下した。ただし、低下幅はプラセボ群よりも、実薬群の方が有意に少なかった。なお、最終的にプラセボ群の23.6%、実薬群の12.5%が吸入ステロイドを併用していた。

 また、11歳未満の小児では、わずかながら成長抑制が確認された。3年間で、プラセボ群よりもブデソニド群に割り付けられた子供の方が、身長の伸びが1.34cm短かった。

 以上から研究グループは「軽症持続型喘息患者に対し、発症早期から低用量の吸入ステロイドを1日1回使用させると、重篤な発作のリスクが減り、喘息のコントロールが改善する」と結論。小児における成長抑制はわずかで、治療による利益の方が上回ると強調し、今回得られた結果は喘息治療ガイドラインに新たなエビデンスをもたらすとまとめた。

 同時掲載された論説(commentary)では、急性増悪を起こした絶対数が両群とも少なく、絶対的な差もわずか(2.2%)であることを指摘。%FEV1の1年目と3年目の「差」に群間で違いがみられないこと、低用量の吸入ステロイドでも全身性の(成長抑制)作用が認められたことなど、結果を解釈する上で留意すべき点を示唆している。

 この論文のタイトルは、「Early intervention with budesonide in mild persistent asthma: a randomised, double-blind trial 」。アブストラクトは、こちらまで。

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