2003.04.02

2型糖尿病患者の血圧管理でACPがガイドライン発表、降圧目標は135/80mmHg、利尿薬またはACE阻害薬を第一選択薬に

 米国内科学会(ACP;American College of Physicians、旧名称:ACP-ASIM)は3月31日、2型糖尿病患者の血圧管理ガイドラインを発表した。米国糖尿病学会(ADA)のガイドラインより収縮期血圧で5mmHg高い、135/80mmHgを降圧目標値に設定。第一選択薬には利尿薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を挙げた。同ガイドラインは、ACPの学術誌であるAnnals of Internal Medicine誌4月1日号に掲載された。

 同ガイドラインでは、「ALLHAT」(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)研究(関連トピックス参照)を含む主要な降圧薬大規模試験結果を検討。エビデンス(科学的根拠)に基づく四つの勧告を呈示している。

 勧告の一つは降圧目標値に関するもので、ADAガイドラインの降圧目標値(130/80mmHg)より収縮期で5mmHg高い、135/80mmHgを推奨した。拡張期の根拠には「HOT」Hypertension Optimal Treatment Trial)研究、収縮期の根拠には「UKPDS」(UK Prospective Diabetes Study)研究と「ABCD」(Appropriate Blood pressure Control in Diabetes)研究を挙げた。

 降圧薬の第一選択薬としては、サイアザイド系利尿薬またはACE阻害薬を推奨。高血圧合併2型糖尿病患者に対し、1.「ALLHAT」発表前の降圧薬臨床試験メタ分析でACE阻害薬が他の降圧薬より優れているとの結果が出ている、2.「ALLHAT」でサイアザイド系利尿薬はACE阻害薬と同等だった、3.β遮断薬、アンジオテンシン2(A2)受容体拮抗薬はエビデンスが不十分、4.カルシウム(Ca)拮抗薬はACE阻害薬に劣る(in comparisons with ACE inhibitors they fared poorly)−−との理由が列挙された。

 ただし、ことCa拮抗薬に関しては、やや根拠が不明瞭との印象は否めない。特に、上記の2を理由として挙げる以上、Ca拮抗薬に関しても「ALLHAT」研究に基づく言及がなければバランスを欠くとの見方もできそうだ。ガイドラインでは、降圧目標値に到達することが最も大切で、かつ通常1剤では達成できないことが強調されており、暗に第二選択薬の併用を勧めている。

ADAは既にガイドラインを変更、全ての降圧薬を第一選択に

 ACPガイドラインではCa拮抗薬の“復権”はならなかったわけだが、そもそもの「Ca拮抗薬外し」で話題を呼んだADAは今年1月、ガイドラインの改訂を行っている。改訂ガイドラインでは、ガイドラインの主文には全く変更がないものの、末尾の「勧告」部分が大きく変わっている。

 ADAの旧ガイドラインで「第一選択薬はACE阻害薬、A2受容体拮抗薬、β遮断薬または利尿薬」と明記していた部分は、改訂ガイドラインでは「降圧薬すべて」(any drug class currently indicated for the treatment of hypertension)へと変わった。その後に「ACE阻害薬、β遮断薬と利尿薬には心血管イベントを減らすエビデンスがある」「ACE阻害薬への忍容性がない場合はA2受容体拮抗薬を使える」と付記されてはいるが、「Ca拮抗薬外し」との印象は当初よりかなり薄らいでいる。

 なお、ACPは、3月31日付けでACP-ASIM(American College of Physicians - American Society of Internal Medicine)からACPへと改称している。

 ACPガイドラインのタイトルは、「The Evidence Base for Tight Blood Pressure Control in the Management of Type 2 Diabetes Mellitus」。現在、全文をこちらで閲読できる。同ガイドラインの根拠となった臨床研究の網羅的レビュー論文、「Treatment of Hypertension in Type 2 Diabetes Mellitus: Blood Pressure Goals, Choice of Agents, and Setting Priorities in Diabetes Care」も、こちらから全文が閲読できる。

 ADAの旧ガイドラインはこちら、新ガイドラインはこちらで、いずれも全文が閲読可能(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.12.18 「利尿薬はACE阻害薬、Ca拮抗薬に勝る」−−NHLBIが「ALLHAT」研究結果を発表

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.3.10 糖尿病合併高血圧に対するCa拮抗薬の有用性は利尿薬と同等以上−−「INSIGHT」サブスタディー


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