2003.04.01

【日本循環器学会速報】 適応判定208例中、心臓移植は国内外で41例、死亡例は58例

 1997年4月1日以降2003年3月31日までに、心臓移植委員会が適応と判定した症例は208例で、そのうち心臓移植を実施した例は国内17例、海外24例の合わせて41例(19.7%)にとどまり、死亡例は58例(27.9%)に上る――。3月30日午後の教育セッション「わが国における心臓移植の適応と患者管理」では、日本の心臓移植の現状が淡々と語られた。ドナー不足という深刻な課題を抱えつつも、難治性重症心不全患者の「唯一で最も有効な治療法」とされる心臓移植の定着に挑む医師らの思いが、会場となった福岡国際センターのアリーナを包み込んだ。

 国内の心臓移植は、脳死体からの臓器提供を認めた法律が施行されてから始まったが、座長の一人、大阪大学臓器制御外科の松田暉氏は、「まだまだ定着はしていない」との認識を示した。「今回の教育セッションは大変重要なテーマ」と切り出した松田氏は再三、「現状をよく理解してもらいたい」と訴えた。理解が広がり深まって行くことが、地道ではあるが、現状でできる心臓移植定着の早道に違いないからだ。

 松田氏とともに座長を務めた久留米大学第三内科の今泉勉氏は、内科の立場から心臓移植の定着に尽力している一人。今泉氏は、参加者に対するパワーボードによるアンケート調査(配布された装置でスイッチを押すと瞬時に回答が集計されステージの画面に表示される)を実施。その中に、「(ドナーカードなどの)現在の臓器提供意志表示システムでは不十分であると考えるか」という質問もあり、結果は「はい」の回答が73%、「いいえ」が27%だった(n=197)。今泉氏は、「ドナーカードの普及率が20歳以上では9%ほどで、2、3年前の9.4%から増えていない」と指摘したが、7割の人がドナー不足対策の必要性を認識していることが明らかになった。

 「申請症例の転機」のテーマで発表した久留米大学の長田克則氏は、1997年4月1日以降2003年3月10日現在の心臓移植申請症例について詳細を報告した。それによると、申請総数は256件で、心臓移植委員会が適応と判定した症例は208例(80%)、再評価28例、保留15例、不適応3例、死亡2例だった。疾患別では拡張型心筋症が208例(81%)と圧倒的に多く、肥大型心筋症17例、虚血性心疾患10例、拘束型心筋症9例、先天性心疾患8例、その他4例だった。

 心臓移植適応認定後は、移植を受けるために日本臓器移植ネットワークに登録する段階となるが、適応と判定された208例中、登録したのは139例だった。登録しなかった症例のその後は、調査中で不明が35例、死亡が13例、渡航移植14例、改善など7例となっていた。

 ネットワークに登録した症例の年次推移は、1997年7月以降、1998年までは10件ほどだったが、1999年には31件に急進し、2000年28件、2001年30件、2002年25件となっている。2003年は3月10日までに3件。登録症例の年齢構成は、15歳以上30歳未満が48例と多く、30歳以上40歳未満40例、40歳以上50歳未満34例、50歳以上60歳未満12例となっている。15歳未満も5例あった。性別では男性が109例と多く、女性が30例と男性が圧倒的に多くなっている。

 気になる登録後の状況は、待機中が60例(うち左室補助人工心臓;LVAD装着19例)で半数近くを占めている。死亡は45例(32.4%)だった。渡航移植は10例、国内移植は17例、待機中に心機能改善6例、患者希望により取り消しが1例となっている。

 なお、国内症例の累積生存率は、最初の症例から4年経過したが、100%を維持している。

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