2003.03.30

【日本循環器学会速報】 単核細胞自家移植による血管新生療法、年内にも高度先進医療に

 関西医科大学などが臨床研究を進めている、単核細胞自家移植による血管新生療法が、年内にも高度先進医療として承認される見通しであることがわかった。同大学臨床検査医学講師の正木浩哉氏が、3月30日の一般口演「Peripheral Circulation 3」における臨床成績の報告中に明らかにした。

 正木氏らが報告した臨床研究は、閉塞性動脈硬化症(ASO)やバージャー病患者を対象とした「TACT」(Trial for Therapeutic Angiogenesis Using Transplantation)試験(関連トピックス参照)。病変部位が一側性の20人には骨髄単核細胞によるオープンラベルのプラセボ対照試験(対側に生理食塩水を注射)、両側性の25人には骨髄単核細胞と末梢血単核細胞の治療効果を比較する無作為化二重盲検試験に参加してもらい、1.ASO患者の7割、バージャー病患者のほぼ全例が治療に反応、2.骨髄単核細胞の方が末梢血単核細胞より治療効果が高い−−などのデータが得られた(Lancet;360,427,2002)。

 この試験は関西医科大学のほか、久留米大学、自治医科大学の3施設共同で行われたが、正木氏は研究結果の発表後、「この3施設で昨年、『TACT』研究の結果に基づき、高度先進医療への申請を行った。年内にも、おそらく3施設同時に承認が得られる」との見通しを明らかにした。

 日本にはASO患者が100万〜400万人いると考えられており、大半は薬物治療などで対処が可能なものの、毎年1万人程度は足や指の切断を余儀なくされており、「血管再生療法の潜在的なニーズは高い」と正木氏。この疾患に対しては、臨床研究として、大阪大学グループによる遺伝子治療のほか、各地で骨髄・末梢血由来細胞の移植術が行われている。細胞移植は「既に80〜100人程度が受けたが、深刻な副作用は報告されていない」(正木氏)という。

 とはいえ、長期的な副作用や、1回の移植で効果がどの程度続くのかといった検討はまだこれから。「今回は半年間での評価データを報告したが、1年〜1年半の長期成績も、今秋の米国心臓協会(AHA)学術集会で報告したい」と正木氏は話す。今後はこうした長期追跡のほか、適応の絞り込み(ASO患者に3割含まれるnon-responderを事前に見分けるための因子解析)や、骨髄単核細胞移植と末梢血単核細胞移植とを組み合わせた治療手法の開発などにも取り組む予定だ。

 高度先進医療に関しては、厚生労働省ホームページのこちらまで。

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.4.25 臨床応用が始まった骨髄幹細胞の自家移植による血管新生療法

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