2003.03.29

【日本循環器学会速報】 カッティングバルーンがステント留置後の再狭窄を抑制、「REDUCE3」試験で判明

 狭くなった血管に内側から切れ目を入れ、風船で拡張する「カッティングバルーン」(刃付きバルーン)を用いると、通常のバルーンを用いるよりも、ステント留置後の再狭窄6カ月発生率が4割抑制されることがわかった。日本で行われた多施設共同試験「REDUCE3」(REstenosis reDUction by Cutting balloon Evaluation 3)の最終結果で、東邦大学第3内科の中村正人氏らが、3月28日のシンポジウム6「Restenosis after Percutaneous Coronary Intervention -From Bench to Bedside-」で発表した。

 試験対象は、経皮的冠動脈インターベンション術(PCI)を待機的に受けた冠動脈狭窄患者523人。平均年齢は65歳で4分の3が男性、4分の1には不安定狭心症があり、およそ3割に心筋梗塞の既往がある。約3割が糖尿病、6割が高血圧、4割が高脂血症を合併していた。9割は標的病変へのPCIを初めて受けるケース(de novo)で、部位は左前下行枝(LAD)と右冠動脈(RCA)がほぼ4割ずつだった。

 中村氏らはこれらの患者を、1.カッティングバルーン後ステント留置(CB+ステント群、261人)、2.通常のバルーン拡張後ステント留置(POBA+ステント群、262人)−−の2群に無作為に割り付け、施術6カ月後の心イベント(MACE)発症率や再狭窄発生率などを比較した。

 その結果、病変長や使用ステント数に群間の差はないものの、前拡張圧はCB+ステント群が有意に低く、それを反映してか、ステント長もCB+ステント群で有意に短いことが判明。50%以上の再狭窄発生率は、6カ月後でCB+ステント群が11.8%、POBA+ステント群が18.8%となり、前者で有意に再狭窄が抑制されることがわかった(p=0.041)。新生内膜による血管内径の縮小度(後期血管内径損失、late loss)に有意差はなかった。

 一方、MACEの6カ月発生率は、CB+ステント群が11.5%、POBA+ステント群が16.3%と、有意差には至らなかった(p=0.118)。ただし、標的領域への再灌流療法(TLR)や標的病変への再灌流療法(TVR)施行率は、いずれも有意な差ではなかったものの、CB+ステント群で低い傾向がみられた(順に10.4%対15.1%、10.8%対15.5%)。

 以上から中村氏らは「カッティングバルーン後のステント留置は、通常のバルーン後にステント留置した場合と比べ、同等の安全性で再狭窄を有意に抑制する」と結論。カッティングバルーンでは新生内膜増殖につながる血管拡張時の血管壁傷害などが少ない上、最小血管径(MLD)が十分に取れたためではないかと考察した。

 なお、ステント内再狭窄の抑制に関しては、ここ1〜2年で薬剤放出ステントの目覚しい臨床成績が報告されており(関連トピックス参照)、ステント内再狭窄はもはや臨床上の問題とはならないとの見方が主流になりつつある。とはいえ、ロータブレーターなど他の新規血管拡張デバイスでは明確な結果が出なかった「再狭窄予防」効果を、カッティングバルーンが初めて示した意義は大きいと中村氏らはみており、「薬剤放出ステントの時代になっても、今回得られたデータは意味を持つ」と中村氏は強調した。

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.9.30 シロリムス溶出ステントの大規模試験「SIRIUS」が結果発表、総再狭窄を4分の1に抑制

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