2003.03.28

【日本循環器学会速報】 診療報酬の問題点が浮き彫りに、PCI回数制限やシネフィルム算定に批判

 2002年度の診療報酬改定によって、経皮的冠インターベンション(PCI)がどのような影響を受けたのかを明らかにした調査結果が発表された。改定後8カ月経った段階で、日本循環器学会、日本心血管インターベンション学会、日本心臓病学会、日本冠疾患学会の内科系評議員419人(各学会の重複は除く)を対象に調査用紙を郵送し、記名による回答を得たもの。調査項目は、PCI施行時の本数制限、同一病変に対するPCIの施行回数制限、心血管造影検査・PCI施行時のシネフィルム算定の不可について、PCI・冠動脈バイパス術などに設定された施設基準の四つ。帝京大学の一色高明氏が学会会場でポスター発表の形で公開した。診療報酬に対して学会横断的に取り組んだ調査はこれが初めてという。

 アンケート回収数は219件(回収率52%)。回答者の勤務先は大学病院・特定機能病院が40%、500床以上の一般総合病院が30%、200から499床の一般病院が24%、200床未満の一般病院が5%、有床診療所が1%。地域別では、関東甲信越が29%、近畿が24%、中四国12%など。アンケート回答者の勤務先が実施しているPCI年間実施件数は、0〜49が4%、50〜99が11%、100〜199が23%、200〜299が26%、300〜499が22%、500以上が14%。

 調査ではまず、PCIの基準本数が設定されたことにより治療方針が変わったかどうかを尋ねたが、「少し変わった」とする回答が59%で最も多く、「変わらない」が39%、「大きく変わった」が2%に過ぎなかった(n=213)。

 「少し変わった」「大きく変わった」と回答した人にどのような影響か尋ねたところ、「バルーンカテーテルが変わった」が83%に上った。一方、「ステントも減った」が38%と決して少なくなかった(n=130)。

 初期成績/慢性期血行再建(TLR)への影響も聞いているが、それぞれ「変わらない」という回答がほとんどだった。ただし、基準本数設定がレセプト点数に及ぼした影響にてついては、「レセプト点数が減った」が37%もあった。ちなみに、「変わらない」は61%、「増えた」は2%だった(N=215)。

 基準本数設定に対する自由意見では、「適応を考慮するようになった」とする前向きの意見があった反面、「病変形態により本数が増えるのは不可避」「本来無用なトラブルが増えた」「不完全拡張で終了する例が増えた」などとする批判も少なくなかった。「病変の状況を無視した基準はおかしい」とする意見もあったという。

 診療報酬で設定された「同一病変に対するPCIの回数制限」により治療方針が変わったかについては、「少し変わった」が39%、「大きく変わった」が4%と、合計で4割以上の人が治療方針が変わったと回答した。「変わらなかった」は57%だった(n=213)。「変わった」と回答した人にどのような影響か尋ねたところ、「TLRが減った」が51%、「CABGが増えた」は59%とそれぞれ半数を超えていた(n=130)。

 関連して「基準回数を超えた場合のレセプトの査定についても尋ねているが、「現時点で不明」が44%と最も多かった。次いで「査定されたりされなかったり」が29%、「詳細すればほとんど査定されない」が20%と続いた。「ほとんど査定されない」が4%あったが、一方で、「詳記の有無によらず査定される」も3%あった(n=119)。査定に、ばらつきが見て取れる。

 回数基準設定に対する自由意見には、「設定回数の根拠が不明で不当」とする批判の声のほか、「症例や病変によって対応すべき」「学会で対応すべき」「運用に不安」などの声もあった。「やむを得ない・無駄なPCIが減る」という意見もあった。

 心臓や血管の動態を把握するために使用するシネフィルムが所定点数に含まれるとされたことについては、「シネフィルムの算定がレセプトに影響しているか」と尋ねたところ、「(レセプト点数が)減った」が52%と半数を超えていた(n=69)。シネフィルム算定が不可とされたことの妥当性を尋ねたところ、「妥当」との回答は17%に過ぎず、「不当」が54%と半数を超えていた(n=214)。この点についての自由意見では、「根拠が不明」「高額な機種への変更は困難」「装置の有無による差別となっている」「シネフィルムの方が画質が優れている」などの批判的な意見が目立った。一方で「コスト削減はやむを得ない」とする肯定的な意見もあった。

 最後のPCI・冠動脈バイパス術などに設定された施設基準については、施設基準によりPCIの治療方針が変わったかどうか尋ねたところ、「変わらない」が88%と大半だった(n=216)。治療方針がどう変わったかについては、「(PCIが)増えた」が75%で、「減った」が8%、「その他」が17%だった(n=24)。なお、施設基準設定の妥当性については、「不当」とする回答が39%で、「妥当」の30%を上回っていた。

 自由意見では、「(不必要な)PCIが増える」「地域性や術者の技術を考慮すべき」「根拠がない」「緊急例への対応を妨げる」「厳しすぎる」などの否定的な意見が目立ったという。

 もちろん「ある程度の基準は必要」「成績と症例数は相関する」「もっと厳しくてもよい」とする意見もあった。そのほかでは、「医師の裁量権を侵害している」との意見や「(規制などは)学会が主導すべき」との指摘もあった。

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「循環器治療の最新動向に関する調査」を実施中
 MedWaveは日本循環器学会の開催に合わせ、「循環器治療の最新動向に関する調査」を実施しています。日進月歩の激しい領域にあって、医療現場の第一線でご活躍の医師の方々に、最近、相次いで公表された大規模臨床試験を中心に、それぞれの結果に対する評価や診療への影響などをお伺いし、「循環器治療の今」を明らかにすることを目的にしております。ご多忙のところ恐縮ですが、何卒ご協力を賜りますようお願い申し上げます。アンケート画面はこちらhttp://webres.nikkeibp.co.jp/user/jsc2003.htmlから。
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