2003.03.26

臨床試験結果の論文化、審査試験の3割に留まる−−スペイン倫理委員会調査

 スペインの病院倫理委員会(HCEC;Hospital Clinic ethics committee)が行った調査で、同委員会が承認した臨床試験のうち、3年後に結果が論文化されていたのは、投稿中のものを含めても3割に過ぎないことがわかった。研究グループは、臨床研究の倫理性を保つ上で、結果の公表も重要な要素であると強調。倫理委員会は治験実施手順(プロトコル)を審査・承認するだけでなく、治験結果が公表されているかについても目を配るべきと提言している。調査結果は、Lancet誌3月22日号に掲載された。

 調査対象は、1997年にスペイン医薬局(SMA)に届け出が出された臨床試験534件のうち、HCECが審査した166件。うち158件が承認され、内訳は第1相試験が2%、第2相試験が18%、第3相試験が59%、第4相試験(市販後調査)が20%だった。試験の89%は製薬企業がスポンサーとなっており、90%は多施設試験だった。

 研究グループは、2001年4月から10月にかけて、各試験の統括医や製薬企業に連絡を取り、臨床試験の実施状況や公表の有無などを調べた。試験の3分の1は治験支援機関(CRO)が受託していた。

 その結果、承認158件のうち実際に臨床試験が開始されたのは143件で、うち45%は調査時点でも患者登録数が予定数に達していないことが判明。開始された143件のうち、20件は調査時点でも実施中で、92件は終了、31件は早期中断されていた。

 試験結果の公表という観点では、実際に臨床試験が行われた143件のうち、最終結果が学会発表されていたのは39件(27%)だけだった。査読制度を持つ(peer-revied)学術誌に論文が掲載されたのは26件(終了試験22件、中断試験4件、21%)で、現在投稿中のものを含めても、論文化率は31%(38件)に過ぎなかった。

 研究グループは、開始された臨床試験の45%で登録患者数が3年後も予定に満たない点について、「治験統括医やスポンサー企業は患者登録に関し楽観的過ぎるのではないか」と指摘。さらに、学会発表や論文化が3割の臨床試験でしかなされていない点は「憂慮すべき事態(worrisome finding)」であり、倫理委員会は臨床試験結果の公表に向けても努力を行うべきと論じている。

 この論文のタイトルは、「Role of a research ethics committee in follow-up and publication of results」。アブストラクトは、こちらまで。

■ 参考トピックス ■
◆ 2002.5.20 臨床研究の倫理的妥当性、確保にはIC以外の要素も重視を−−特別セッションより

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