2003.03.20

自覚的なストレスが高いと「脳卒中で死ぬ」確率が増える

 強いストレスを感じている人は、ストレスのない人よりも「脳卒中で死ぬ確率」が有意に高いことが、デンマークの地域コホート追跡研究で明らかになった。デンマーク予防医学研究所のThomas Truelsen氏らが、1万人以上の成人男女を13年間追跡したもの。研究結果はStroke誌4月号に掲載される予定で、3月13日から同誌ホームページ上で早期公開された。

 Truelsen氏らは、地域コホート研究の「Copenhagen City Heart Study」に参加した20〜98歳の男女1万2698人に対し、ストレスの自覚的な強度や頻度を調査。その後の脳卒中の発症との関連を追跡した。ストレスの強度は4段階(無い、軽度、中等度、高度)、頻度も4段階(ほとんど無い、月1回、週1回、毎日)で評価してもらった。

 平均追跡期間は13年間で、試験開始時に脳卒中の既往があった124人は解析から除外した。解析対象者は、男性が5604人、女性が6970人。追跡期間中、929人が脳卒中を発症し、発症者中207人(22%)が死亡した。

 ストレスの強度・頻度と脳卒中の発症との関連を調べると、致死性・非致死性のいずれも、有意な相関を認めなかった。ところが、ストレスが「無い」と回答した4931人を基準に、脳卒中で死ぬ(発症後28日以内の死亡)リスクを評価すると、年齢、性別や他の危険因子で補正後も、ストレスが「高度」と答えた716人ではおよそ2倍に増加することが判明(相対リスク:1.89、95%信頼区間:1.11〜3.21)。ストレスが「軽度」「中等度」と答えた人でも、脳卒中死のリスクに増加傾向が認められた。

 脳卒中の「発症」とストレスとには関連が認められないにも関わらず、脳卒中による「死亡」はストレスが強い人で増加するとの結果だが、この原因として、研究グループは「ストレスが強いと脳卒中が重症化する」可能性を指摘する。その根拠として挙げるのが、ストレス下におかれたマウスを使った実験。このストレスマウスに実験的に脳梗塞を作製すると、虚血をトリガーとするBcl-2蛋白(抗アポトーシス作用を持つ)の発現が、対照マウスに比べ70%も低下していたという(PNAS USA;98,11824,2001)。

 また、今回の研究からは、自覚的なストレス強度や頻度の高い群で、喫煙者、運動不足やアルコール多量摂取者の割合が有意に多いとのデータが得られた。この点を鑑み、「ストレスに関する簡単な問診を行うだけで、脳卒中予防を強力に行うべき患者が明らかになる」とTruelsen氏らは結論付けている。

 なお、本研究でストレスが「無い」と回答した人は全体の39%、ストレスを感じる頻度が「ほとんど無い」人は48%だった。回答者の平均年齢は57〜58歳と、日本ではむしろ高いストレスに晒される年代。皆が「癒やし系」を求める日本に住む我々としては、こちらの数字のほうが驚きかもしれない。

 この論文のタイトルは、「Self-Reported Stress and Risk of Stroke. The Copenhagen City Heart Study」。アブストラクトは、こちらまで。(宇津貴史、医学レポーター)

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