2003.03.17

WHO、重症急性呼吸器症候群(SARS)の全世界への拡大を警告

 WHOは3月16日(日本時間、以下同)、8カ国から重症急性呼吸器疾患(SARS:Severe Acute Respiratory Syndrome)の患者発生が報告されているほか、米国からドイツに向かった飛行機の機内でも患者が発生した疑いがあるなど、短期間で全世界に拡散しつつあるとして、旅行者と航空会社向けに、緊急情報を発した。

 SARSは38度以上の高熱と咳、呼吸困難など、インフルエンザの初期症状に似た症状を示す。患者発生の報告は、カナダ、中国、香港、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの各国からWHOに寄せられている。また16日、ニューヨークからフランクフルトに着陸した便で発症した患者一人と複数の同行者が病院に隔離された。先週1週間に新たにWHOに報告された患者数は150人を超えているという。

 WHOでは3月13日に、ベトナムと香港、および中国広東省において、原因不明の重症肺炎の集団発生がみられたとする緊急情報を出したばかりだが、東南アジアや北米での患者発生に危機感を強めており、旅行移動に関する警告に踏み切ったとみられる。今のところ、特定地域への旅行を制限する勧告は行っていない。

 以下に、WHOのSARSに関する緊急情報の主文の概略を示す。原文はこちらまで。

 追って厚生労働省、あるいは国立感染症情報センターから、公式の抄訳が発表されると思われる。厚生労働省のホームページはこちら、感染症情報センターのホームページはこちら

WHO緊急旅行情報の主文の概略

 航空機乗員を含む旅行者に対して:すべての旅行者は、以下に示すようなSARSの主要な徴候に注意すべきである。

 SARSが疑われる場合;
 2003年2月1日以降に以下の徴候が現れた場合

 38度以上の高熱があり、加えて、咳、呼吸の短縮、呼吸困難などの呼吸器症状が少なくとも一つ以上ある。さらに、次のいずれか、または両方の状況に該当する。
 (1)SARSと診断された患者との密接な接触(注1)があった
 (2)最近、SARS患者の発生が報告されている地域に旅行した

 SARSであることがほぼ確実な場合;
 SARSの疑いがあるケースで、胸部X線検査により、肺炎または呼吸切迫症候群の存在が確認された場合。

 なお、SARSでは発熱と呼吸器症状に加え、頭痛、筋肉のこわばり、食欲減退などを伴うことが多い。

 万一、旅行者がSARSの徴候を示した場合には治療を受けるべきである。その際、医療スタッフに対し、直近の旅行についての情報を通知する必要がある。また、回復するまで旅行の継続は控えるべきである。

 乗客や乗員が上記の徴候を示した場合、目的地の空港に対して警告を伝える必要がある。発生した患者は、到着後ただちに空港の検疫担当官に検査と管理を委ねるべきである。また、当該航空機に同乗した乗客と乗員に対しては、SARSの疑いがある患者が発生したことを伝えるべきである。乗客と乗員は、以後14日間にわたるすべての人的接触に関する詳細を、空港の検疫当局に報告しなければならない。今のところ、健康な乗客・乗員については、旅行を制限や投薬、検査の必要はないと考えられている。

 今回の集団感染の原因がさらに判明するまでは、SARS患者は隔離し、バリアナーシング手法に基づき、臨床所見に対応した治療を行う必要がある。また、患者発生は厚生当局に通報すべきである。

 注1)濃厚な接触とは、SARS患者の看護をした場合、同居している場合、呼吸器分泌物や体液に直接触れたことがある場合を指す。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医学書を安く買う方法・高く売る方法 Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:24
  2. 78歳女性。主訴:激しい胸痛 総合内科BASICドリル FBシェア数:173
  3. 医療者の「献身的な労働」に甘えていませんか? 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」 FBシェア数:146
  4. ケアマネがショックを受けた医師からの一言 医師が知らない介護の話 FBシェア数:399
  5. ガイドラインではエコー、現場では… 画像診断大国の若手医師へ FBシェア数:160
  6. 終末期にどこまで抗菌薬を使用すべきか シリーズ◎在宅医療における感染対策(4) FBシェア数:606
  7. 「これ以上は無益」と言えない気持ちも伝えよう 国立病院機構東京医療センター倫理サポートチームの尾藤誠司氏に聞く FBシェア数:285
  8. いまの医師の好みはベンツよりハイブリッド車 医師1000人に聞きました FBシェア数:207
  9. 認知症700万人時代、数少ない収入アップの道 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:23
  10. 医師達はいかにして検察を騙してきたか 池田正行の「氾濫する思考停止のワナ」 FBシェア数:1