2003.03.16

【日本呼吸器学会速報】 呼吸器病学はポストゲノム時代へ、今こそ心の医療を−−会長講演より

 ポストゲノム時代を迎え、21世紀の医学・医療はいかにあるべきか−−。3月13日に開催された会長講演「呼吸器病学の変遷−過去、現在、ポストゲノム時代へ−」には、今期総会の会長を務める九州大学大学院胸部疾患研究施設教授の原信之氏が登壇。基礎と臨床の両面から、同研究施設や日本呼吸器学会の変遷を振り返り、ポストゲノム時代の医学・医療における課題を浮き彫りにした。

 原氏の所属する胸部疾患研究施設が発足したのは1952年。当初は結核研究所として開設され、1960年に胸部疾患研究施設へと名称変更が行われた。開設当時の入院患者はほぼ全員が結核患者だったが、その後結核患者が急減。肺癌や間質性肺炎など、結核以外の疾患の患者比率が増加した。

 一方、日本呼吸器学会は、1961年に日本胸部疾患学会として設立。1997年には日本呼吸器学会へと呼称を変更し、2002年8月22日付けで社団法人になった。学術集会の演題数は、当初の142題から2001年は1215題へと増加。疾患関連の演題比率も、40%から68%へと増加した。疾患別にみた場合、累積演題数のベストスリーは喘息(521題)、肺腫瘍(408題)と感染症(384題)。最近は、肺腫瘍、感染症が多く、次いで喘息、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の順となっている。

 基礎研究のテーマ別解析では、当初は呼吸生理が中心だったが、次第に免疫・炎症・アレルギーや肺循環、遺伝子関連研究が増加。同研究施設でも、分子生物学を基盤とした呼吸器疾患の解明と克服を研究目標に掲げ、肺癌、肺線維症と気管支喘息に関する基礎研究を進めてきた。肺癌については多段階発癌仮説に基づく遺伝子治療研究、肺線維症については急性肺障害と線維化の分子機構の解明などに、精力的に取り組んできたという。

 こうした呼吸器病学の変遷を提示した後、原氏は、ポストゲノム時代となる21世紀の医学・医療における五つの課題を提示した。具体的には、1.医学・医療における分化と統合、2.心と体の調和、3.教育の復活と人材育成、4.独創的研究の推進、5.生命倫理−−で、なかでも今期総会のメインテーマでもある「分化と統合」に関しては、「人を個体として捉え、その上で遺伝子や細胞レベルでの成果が統合されるべき」と原氏は強調。肉体と心とは一体で、ポストゲノム時代こそ医療の中に心を取り入れる必要があり、そのために教育と研究に一層力を入れるべきと論じた。

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◆市中肺炎診療の実態調査2003

 MedWaveは今年も「市中肺炎診療の実態調査」を実施致します。本調査は、医療現場の第一線で活躍されている先生方に、外来で遭遇する肺炎(市中肺炎)の診療方針や考え方、抗菌薬の処方経験、市中肺炎診療に関する情報ニーズなどをお伺いし、市中肺炎診療の実態を明らかにすることを目的としております。調査結果は後日、MedWave等で紹介する予定です。ご多忙のところ恐縮ですが、何卒ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
◇アンケート画面は以下です。
http://webres.nikkeibp.co.jp/user/MW203122.html
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