2003.02.27

ビタミンEとCの併用で頚動脈肥厚が抑制−−ASAP追跡研究

 ビタミンEやビタミンCなどの“抗酸化ビタミン”に、はたして動脈硬化進展抑制作用はあるのか−−。この議論の尽きない仮説に対する新たなエビデンスが、Circulation誌2月25日号に掲載された。3年間のプラセボ対照無作為化試験の完遂者を、さらに3年間追跡した研究で、特に男性では著明な頚動脈肥厚抑制作用が認められたという。

 この研究「ASAP」(Antioxidant Supplementation in Atherosclerosis Prevention)は、フィンランドKuopio大学のRiitta M. Salonen氏らが実施した臨床試験。45〜69歳で血清総コレステロール値が193mg/dl以上の男女520人を、1.プラセボ群、2.ビタミンE(136国際単位/日)群、3.徐放性ビタミンC(250mg/日、分2)群、4.ビタミンE・C併用群(用量は単独群と同じ)−−の4群に130人ずつ割り付け、総頚動脈壁の内膜・中膜厚(IMT)に与える影響を検討した。

 二重盲検法による3年間の観察で、ビタミンE・Cを併用した男性でのみ、プラセボ群に比べIMT増加が有意に抑制されることが判明(J. Intern. Med.;248,377,2000)。今回は、二重盲検期間を完遂した440人をさらに3年間オープンラベルで追跡し、総計6年間の“抗酸化ビタミン効果”に対する解析結果が報告された。なお、オープンラベル期間では、プラセボ群(105人)は引き続きプラセボを服用したが、二重盲検時にビタミン摂取に割り付けられていた人は、全てビタミンE・Cの併用に切り替えた(ビタミン剤服用群:335人)。

 その結果、二重盲検時を含む6年間の観察期間で、ビタミン剤服用群の総頚動脈壁IMTの増加は年率0.0103mmと、プラセボ群(年率0.0134mm)よりも有意に抑制されていることが明らかになった(p=0.007)。ただし、効果には男女差があり、男性ではIMT増加率とIMT絶対値のいずれもビタミン剤服用群でプラセボ群に比べ有意な抑制を認めたが、女性ではいずれも有意差とはならなかった。

 ビタミン剤服用の恩恵を最も受けたのは、試験開始時に「頚動脈プラークを認めた人」と「血中ビタミンC濃度が中央値(71.25μmol/l)未満の人」。両者とも、ビタミン剤服用によるIMT増加抑制作用が明らかに大きかった。一方、試験開始時にビタミンC濃度が中央値以上だった人では、IMT増加抑制作用は認められなかったという。

 今回得られた結果はビタミンE・C併用による動脈硬化進展抑制を示唆するものだが、より大規模な「HPS」(Heart Protection Study)試験では、ビタミンE600mgとビタミンC250mg併用による心血管系イベント抑制作用は否定されている(関連トピックス参照)。「HPS」試験は「ASAP」研究より心血管疾患リスクが高い層が対象だが、「ASAP」の研究グループは「HPS」試験でβカロテンが併用されている点を指摘するのみで、「ASAP」研究の結果との齟齬については言及がない。

 IMT進展抑制作用が同等でも、カルシウム(Ca)拮抗薬の方が利尿薬よりも血管系イベントが多かったとする無作為化試験(MIDAS試験)も既に報告されており(JAMA;276,785,1996)、「介入によるIMTの変化」と「心血管系予後改善作用」は、必ずしも相関するわけではないようだ。

 この論文のタイトルは、「Six-Year Effect of Combined Vitamin C and E Supplementation on Atherosclerotic Progression: The Antioxidant Supplementation in Atherosclerosis Prevention (ASAP) Study」。アブストラクトは、こちらまで。(宇津貴史、医学レポーター)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.7.8 HPS研究が待望の論文化、米の高脂血症治療ガイドラインにも影響か

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