2003.02.19

アスピリンにイブプロフェン併用で死亡率増加、心血管疾患既往者の後ろ向き研究で示唆

 アスピリンを服用している心血管系疾患患者が、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)のイブプロフェンを併用すると、心血管系死亡だけでなく総死亡も有意に増加するとするレトロスペクティブ(後ろ向き)研究結果が報告された。米国Ninewells医科大学のT. M. MacDonald氏とL. Wei氏によるもので、Lancet誌2月15日号に掲載された。

 同氏らは、心血管系疾患による入・退院後アスピリンを処方され、1カ月以上生存していた7107人のデータを解析。心血管系死亡や総死亡に併用薬が与える影響を評価した。観察期間の中央値は3.3年。

 その結果、イブプロフェンを併用していた187人では、アスピリン以外のNSAIDを服用していなかった6285人と比べ、総死亡の相対リスクが1.93倍になることが判明(95%信頼区間:1.30〜2.87、p=0.0011)。心血管系死亡も同様に1.73倍(同:1.05〜2.84、p=0.0305)となり、いずれも大幅に高くなることがわかった。一方、ジクロフェナクなどイブプロフェン以外のNSAID併用例(635人)では、このような死亡の増加は認められなかった。

 「少なくとも心血管疾患例においては、イブプロフェンがアスピリンと薬物相互作用を生じるという仮説を支持する結果」とMacDonald氏とWei氏は結論。同号のCommentaryでは、英国University of OxfordのGarret A. FitzGerald氏も、「アスピリンによる心筋梗塞・脳卒中二次予防作用が確立している以上、アスピリンとNSAIDを併用するのであればイブプロフェン以外を用いた方が好ましい」との見解を示している。

 この論文のタイトルは、「Effect of ibuprofen on cardioprotective effect of aspirin」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(宇津貴史、医学レポーター)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. まずLAMAから?それともLABAから? プライマリケア医のための喘息・COPD入門 FBシェア数:129
  2. なぜ、われわれは手洗いをしないのか?(その2) 忽那賢志の「感染症相談室」 FBシェア数:57
  3. NCDで変わり始めた外科手術 リポート◎登録開始から5年、800万を超える外科症例データが集積 FBシェア数:35
  4. 抗体を持つ研修医が発症した「修飾麻疹」とは? パンデミックに挑む:トピックス FBシェア数:282
  5. 81歳男性。側腹部の膨隆 日経メディクイズ●救急
  6. 地域枠義務放棄の医師採用は研修補助金を減額 臨床研修病院はマッチング時に「地域枠医師」かどうかの確認を FBシェア数:221
  7. 63歳女性。手指と足首の痛みを伴う皮疹 日経メディクイズ●皮膚
  8. 国主導の『抗微生物薬適正使用の手引き』公表へ 厚生科学審議会感染症部会で了承 FBシェア数:87
  9. 13歳女児。繰り返す嘔吐 日経メディクイズ●小児
  10. 今年の大学医学部入試の問題から(その1) 松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」 FBシェア数:1