2003.02.10

【日本胃癌学会速報】 転移・再発性GIST患者へのイマチニブ治療成績が報告、6割で減薬・休薬要も奏効率7割

 転移・再発性の消化管間質腫瘍(GIST)患者21人に、メシル酸イマチニブ(商品名:グリベック)を投与した治療成績が、2月7日のシンポジウム「胃GISTの診断と治療」で報告された。新潟大学大学院消化器・一般外科の神田達夫氏らの報告による。治療効果が評価できた20人中14人で腫瘍の消失・縮小が認められ、奏効率は70%に達したものの、副作用のため約6割の人で休薬や薬の減量が必要となったという。

 メシル酸イマチニブは、スイスNovartis Pharma社が創製、わが国では2001年12月に慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬として発売された抗癌薬。チロシンキナーゼに対する特異的な阻害作用を示すよう設計された分子標的薬で、CMLなど病態にチロシンキナーゼが深く関与する癌に効果を発揮する。

 GISTには一般に抗癌薬が極めて効きにくいが、GISTの多くで、チロシンキナーゼ活性を持つ成長因子受容体(c-Kit)が強発現していることが判明。海外の臨床試験で好成績が報告され、欧州と米国で昨年、GISTへの適応拡大が行われている。わが国では今年1月に適応拡大申請が行われた段階だ。

 神田氏らは、2001年12月から2002年10月にかけ、再発や遠隔転移が確認されたGIST患者21人にメシル酸イマチニブを処方。朝1回400mgを、病状の進行が確認されるまで連日内服してもらい、同薬の治療効果を検討した。21人中c-Kit陽性は19人で、全員が手術を受けており、うち10人は術後化学療法も試みていた。患者の大半は複数の臓器に転移が起こっていた。

 3カ月後の臨床効果は、評価症例20人中完全寛解(CR)が二人、部分寛解(PR)が12人。CRとPRを併せた奏効率は70%と、海外の報告例とほぼ同程度で、治療薬としてかなり期待の持てる水準となった。治療効果は多くの患者で投与1カ月以内に現れた。一方、二人が原病死しており、うち一人はc-Kit陰性だった。

 副作用に関しては、グレード3から4の白血球・好中球減少が24%、低ヘモグロビン血症が10%に起こった。グレード2以上の副作用は、21人中19人とほぼ全例が経験した。患者のうち一人が粘膜病変から出血、一人が薬剤滞留によると考えられる潰瘍を生じた。こうした副作用のため、21人中12人(57%)で、薬を減量したり、一時的に休薬しなければならなくなった。治療は自費で行われたため、3人は経済的な理由で減量・休薬した。

 次に神田氏らは、胃GIST11人と小腸・大腸GIST10人について、奏効率や忍容性、副作用発現率などを比較した。その結果、治療成績や副作用発現率、副作用の種類などについては、胃と腸とで大きな相違がないことが明らかになった。

 以上から神田氏らは「メシル酸イマチニブは、再発・転移性GISTに対し高い奏効率と速やかな効果発現を示す。一方、およそ6割で副作用のため休薬や薬の減量が必要となった。こうした治療成績や副作用には胃と腸とで大きな違いはなかった」と総括。特に腹膜播種への効果が高い印象があったが、噴門側で胃を切除した患者で吻合部近くからの出血がみられた例もあり、投薬に際しては十分な注意が必要だとまとめた。

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