2003.02.04

各種危険因子への厳格な介入が合併症を半減、2型糖尿病対象の「Steno-2」試験で判明

 心血管疾患や糖尿病性腎症、神経障害など、2型糖尿病で問題となる各種の合併症の発症率が、危険因子の厳格なコントロールでほぼ半減できることがわかった。デンマークで行われた臨床試験「Steno-2」の結果で、New England Journal of Medicine(NEJM)誌1月30日号に掲載された。

 試験の対象は、2型糖尿病に罹患しており、腎機能が低下しつつある(微小アルブミン尿が出ている)患者160人。無作為に2群に分け、一方には通常の治療、他方には厳格な治療を行い、平均7.8年間追跡して合併症の発生率を比較した。対象患者の平均年齢は55.1歳で、ほぼ4分の1が食事療法のみで糖尿病治療を行っていた。

 通常治療群の当初7年間の介入目標値は、血圧が160/95mmHg、糖化ヘモグロビンが7.5%、空腹時総コレステロール値が250mg/dl、空腹時トリグリセリド値が195mg/dlというもの。厳格治療群では、介入目標値として血圧を140/85mmHg、糖化ヘモグロビンを6.5%、空腹時総コレステロール値を190mg/dl、空腹時トリグリセリド値を150mg/dlとした。試験の最後の2年間は、両群共に介入目標値の引き下げが行われた。

 さらに、厳格治療群ではビタミンCなどの総合ビタミン・ミネラル薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を、原則全員に投与。虚血性心疾患だけでなく末梢血管障害の既往者にもアスピリンを投与するなど、まさに「良いと言われていることはすべてする」方針を取った。通常治療群では最後の2年間のみ、高血圧によらずACE阻害薬の原則全例投与が行われた。

 その結果、心血管疾患の発症ハザード比は0.47(95%信頼区間:0.24〜0.73)となり、厳格治療群で心血管イベントがほぼ半減することが判明。同様に、主要な合併症である腎症のハザード比は0.39(同:0.17〜0.87)、網膜症は0.42(同:0.21〜0.86)、自律神経障害は0.37(同:0.18〜0.79)と、いずれも大幅に合併率が低いことが明らかになった。

 以上から研究グループは「2型糖尿病の複合的な危険因子(マルチプル・リスクファクター)に対し、厳格な介入目標値を定めて長期間、強化的に介入すれば、ハイリスクの2型糖尿病患者の大血管・細小血管性イベントをほぼ半減できる」と結論したが、結果を解釈する上で留意すべき点がいくつかある。

 一つは、心血管イベントから「再灌流療法の実施」を除くと、心血管イベントの発生率に有意差がなくなる点だ。この試験は割り付けは無作為に行われているもののオープン形式であり、差があるのがソフトな(恣意的に左右し得る)エンドポイントだけである点を鑑みると、結果は多少割り引く必要があるかもしれない。また、末梢の神経障害については、両群の発生率に有意差はない。

 もう一つは、このように「良いと言われていることはすべてする」という戦略が、個々の患者にどの程度受け入れられ得るかという点だ。厳格な介入目標値を達成するためには、多くの人で毎日、ACE阻害薬などの降圧薬を複数服用し、さらに高脂血症治療薬、経口糖尿病薬、総合ビタミン・ミネラル薬、アスピリンを飲み、インスリンの自己注射を行う必要が出てくる。

 「良いことは何でもやりたい」人がいる一方、できるだけ生活の制約を避けたい人もいる。エビデンスは尊重しつつも、患者と相談した上で、厳格な介入を行う危険因子に優先順位を付けるとの現実的な対処が医療者には求められそうだ。

 この論文のタイトルは、「Multifactorial Intervention and Cardiovascular Disease in Patients with Type 2 Diabetes」。アブストラクトは、こちらまで。

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