2003.01.31

米で小児てんかん治療にガイドライン、初回発作後の抗てんかん薬投与を否定

 米国神経学会(AAN)と米国の小児神経学会(CNS)は1月27日、無熱性けいれん発作を初めて起こした小児に対する診療ガイドラインを発表した。「初回発作の段階から抗てんかん薬を開始する」との治療戦略を原則として否定するもの。ガイドラインは、AANの学術誌であるNeurology誌1月28日号に掲載された。

 外傷や熱発など明確な原因が無いけいれん発作(無熱性けいれん、特発性てんかん)は、米国では小児の約1%が経験するありふれたもの。こうした無熱性けいれんに対する治療戦略は、ここ20年で大きく転換した。

 以前は、初回発作の段階から抗てんかん薬を開始すれば、発作の再発を大方防げると考えられており、積極的な抗てんかん薬投与が行われていた。しかしその後、経過観察した場合でもてんかん発症へとつながるケースはまれであることなどがわかり、初回発作から抗てんかん薬を処方する医師は少数派になりつつある。わが国でも現在は、「抗てんかん薬の処方は原則として2度目の発作以降」との治療戦略を取る医療機関が多い。

 とはいえ、この「治療戦略の転換」は、あくまで経験的な知見に基づくもの。そこで、AANとCNSは、1980年から2001年までに発表された臨床研究を網羅的に検討し、エビデンスに裏打ちされたガイドライン策定を行うこととした。

 その結果、初回発作の段階から抗てんかん薬を開始すると、経過観察を行った場合よりも、発作の再発を抑制できるとの報告が多いことが判明。しかし、小児のみを対象とした臨床研究は少なく、小児でのエビデンスは不十分だった。小児が抗てんかん薬を長期間服用する場合、身体的・精神的な副作用が無視できないこともわかった。

 以上から両学会は、初回発作の無熱性けいれんに対し、再発・てんかん発症抑制を目的とした抗てんかん薬投与は不適当(not indicated)と結論。抗てんかん薬を投与する場合は、その患者にとってメリットとなる再発・てんかん発症抑制効果が、デメリットとなる身体的・精神的な副作用を上回ることを個別に確認すべきだとした。

 このガイドラインのタイトルは、「Practice parameter: Treatment of the child with a first unprovoked seizure」。アブストラクトは、こちらまで。この件に関するAANのプレス・リリースは、こちらまで。

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