2003.01.10

開業医の5人に一人が「もう引退したい」−−英調査

 英国の開業医(一般医)約2000人を対象とした調査で、回答者(平均年齢:約44歳)の5人に一人が「5年以内に引退したい」と考えていることがわかった。引退の意向は“仕事にやりがいを感じるか”と強く関連しており、研究グループは「一般医不足を解消するためには、一般医という仕事のやりがいを高める施策が必要」と提言している。調査結果は、British Medical Journal(BMJ)誌1月4日号に掲載された。

 この調査を行ったのは、英国Manchester大学プライマリ・ケア研究・促進センターのBonnie Sibbald氏ら。Sibbald氏らは、1998年に国が行った調査(有効回答者数:790人)と同じ調査票を用い、2001年に一般医約2000人を対象とした再調査を実施。一般医の年齢、性別、人種や対象患者層、仕事への満足度などと、早期引退の意向との関連を調べた。調査票回収数は1332枚(67%)で、有効回答者数は1159人。

 その結果、回答者の実に22%で、5年以内に引退するとの意向が強いことが判明。1998年調査の14%を8ポイント上回った。引退の意向が強い人の比率は、40歳代前半で11%(前回調査:9%)、40歳代後半で15%(同:7%)、50歳代前半で45%(同:27%)、50歳代後半で87%(同:64%)であり、医師の年齢と強い相関がみられた。なお、回答者の平均年齢は、1998年調査が43.75歳、2001年調査が44.35歳でほとんど変わらなかった。

 次に研究グループは、どのような一般医で早期引退の意向が強いかを、多変量解析で評価した。すると、年齢(50歳以上)のほか、「仕事に対する満足度が低い」「18歳未満の子供がいない」との三つの要素が浮上した。これらのうち、早期引退の意向と最も強くリンクしていたのは、仕事に対する満足度だった。

 さらに、「仕事に対する満足度が高い一般医」の典型例には、1998年調査と2001年調査との間に興味深い変化がみられた。1998年調査から浮かび上がった「満足度の高い一般医」は、地方(rural)で働いており、白人の高齢女性で、18歳未満の子供がいないというもの。一方、2001年調査からは、主な患者層が貧困層に属し、労働時間が短く、若い白人というものだった。

 英国では近年、地域医療を担う一般医不足が深刻化しており、原因の一つとして一般医の早期引退が挙げられている。英国厚生省はこの現状改善に向け、65歳まで働いた一般医に報奨金を出す施策を2001年に打ち出しているほどだ。ただし、この2回の調査には金銭面に関する調査項目が含まれていないため、報奨金にどれだけ一般医の早期引退を食い止める効果があるかは予想できない。

 研究グループは、1990年代に行われた一連の医療制度改革後、早期引退した一般医の多くが「今の医療制度が気に入らない」ことを理由に挙げたとの調査結果を例に引き、早期引退を減らすには、医師の仕事に対する熱意をうまく引き出す方向で医療制度を整え、仕事に対する満足度を高めることが不可欠と提言している。

 この論文のタイトルは、「National survey of job satisfaction and retirement intentions among general practitioners in England」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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