2003.01.09

未治療の多発性骨髄腫に対するサリドマイド療法の治療成績が論文発表、ステロイドとの併用で好成績

 未治療の多発性骨髄腫に対する、サリドマイド単剤の治療効果が論文発表された。治療への反応率は36%と、既存の治療に抵抗性の患者を対象とした場合の臨床成績とほぼ同程度だった。さらに、サリドマイドとステロイド薬のデキサメタゾン(わが国での商品名:デカドロンなど)とを併用した場合、反応率は73%と、単剤投与の場合よりもかなり高いことがわかった。研究結果は、Journal of Clinical Oncology(JCO)誌1月1日号に掲載された。

 多発性骨髄腫の治療法として、サリドマイドとデキサメタゾンの併用療法の有効性が注目されているが、今回の発表はそれを支持する結果と言える。また、サリドマイドを“最後の手段”として取っておくのではなく、初回から第一選択の治療法として使うという、新たな治療戦略にも道を開くものとなりそうだ。

 米国Texas大学M.D.Anderson癌センターの研究グループは、1999年5月から2001年9月の間に、未治療の無症状で進行するリスクの高い多発性骨髄腫患者28人に対して、サリドマイド単剤による治療を行った。これとは別に、2000年7月から2001年7月の間に、未治療の症状の有る多発性骨髄腫患者40人に対して、サリドマイドとデキサメタゾンの併用による治療を行った。

 治療への反応率は、サリドマイド単独では10人(36%)、併用治療では29人(73%)だった。併用治療を受けたうち5人では、完全寛解(CR)が得られた。治療に反応した患者で寛解が得られるまでの時間は、サリドマイド単独治療では4.2カ月、併用治療では0.7カ月だった。

 これは二つの別個のケース・シリーズ(症例集積)であり、患者背景が異なるため、結果を単純に比較するわけにはいかない。しかし、著者らの文献的な検討によれば、未治療の多発性骨髄腫患者に対する治療としては、他の治療法に比べて、今回実施したサリドマイドとデキサメタゾンの併用治療の反応率が高かった。著者らはまた、デキサメタゾンと併用することにより、サリドマイドの投与量が少なくて済み、副作用が避けられることも評価している。

 なお、わが国でも日本骨髄腫研究会が、既治療の多発性骨髄腫患者を対象にサリドマイドとデキサメタゾンの併用療法を行い、安全性と有効性を調べる臨床研究を昨年末に開始している。

 この論文のタイトルは、「Thalidomide Alone or With Dexamethasone for Previously Untreated Multiple Myeloma」。アブストラクトは、こちらまで。(北澤京子、日経メディカル

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