2003.01.07

抗うつ薬誘発性の性機能障害に「バイアグラ」が有効

 抗うつ薬の副作用として生じた性機能障害(AASD)にも、クエン酸シルディナフィル(商品名:バイアグラ)が有効であることがわかった。米国で行われたプラセボ対照無作為化試験によるもので、同薬のAASDに対する有用性がプラセボ対照試験で示されたのは初めて。研究結果は、Journal of American Medical Association(JAMA)誌1月1日号に掲載された。

 性機能障害は大うつ病(Major depression)の主要な症状の一つだが、抗うつ薬の副作用としても生じ得ることが知られている。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの、セロトニン再取り込み阻害作用を持つ抗うつ薬(SRI)は、米国で処方される抗うつ薬の9割を占める。こうしたSRIの服用者では、3〜7割に勃起障害(ED)や性欲の減退、射精の遅れなどの性機能障害が生じるとされ、米国では抗うつ薬服用中断の大きな原因となっているという。

 クエン酸シルデナフィルは、性機能障害のうちEDの治療薬として承認されており、糖尿病や高血圧、前立腺摘出術後など様々な原因によるEDに対する治療効果が確認されている。抗うつ薬によるAASDに対しても、レトロスペクティブ(後ろ向き)な分析では服用者でEDが改善されるという結果が得られていたが、プロスペクティブ(前向き)試験は行われていなかった。

 米国New Mexico大学健康科学センター精神科のH. George Nurnberg氏らは、大うつ病と診断され現在は病状が安定しており、12週以上SRIを服用していて4週以上AASDの症状がある18〜55歳の男性患者90人を試験に登録。無作為に2群に分け、一方にクエン酸シルデナフィル、他方にプラセボを処方して、性行為を試みる直前に服用するよう指示した。

 対象患者の平均年齢は、シルデナフィル群(45人)が44.9歳、プラセボ群が44.8歳。抗うつ薬の服用期間(順に33.5カ月、20.8カ月)や月当たりの性行為試行回数(10.0回、7.0回)は、いずれも前者が多い傾向はあったが有意差はなかった。服用している抗うつ薬の種類には両群に差はない。糖尿病や高血圧など性機能障害を引き起こし得る疾患の罹患については調べていない。

 性機能障害の種類別(複数回答)では、ED(82.2%、91.1%)、性的刺激への反応性低下(82.2%、93.3%)や性欲減退(68.8%、60.0%)、射精の遅れ(68.8%、71.1%)が多かったが群間の差はなかった。試験期間は6週間で、シルデナフィル群は平均して2週間当たり5.3回、プラセボ群は4.5回指示された薬を服用した。

 その結果、総合的な性機能はシルデナフィル群の54.5%で大きく改善したが、プラセボ群では4.4%しか著明な改善が認められなかった。性機能障害の種類別では、EDだけでなくそれ以外の性機能障害についても、シルデナフィル群での改善度がプラセボ群を上回っていた。うつ病の病態は両群とも安定していた。

 一方の副作用は、頭痛が最も多く、シルデナフィル群の40.5%、プラセボ群の9.8%に生じた。このほか、胃腸障害(順に7.1%、0%)やのぼせ(16.7%、2.4%)、視覚異常(11.9%、2.4%)、鼻の充血(11.9%、2.4%)などが比較的多くみられたが、副作用により試験を中断した人はいなかった。

 以上から研究グループは、「SRIの服用による男性の性機能障害は、ED以外の性機能障害も含め、クエン酸シルデナフィルにより効果的に改善された」と結論。こうした効果は、抗うつ薬の服薬継続性(アドヒアランス)の向上に役立つのではとまとめている。

 この論文のタイトルは、「Treatment of Antidepressant-Associated Sexual Dysfunction With Sildenafil」。アブストラクトは、こちらまで。

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