2002.12.11

USPSTFが前立腺癌スクリーニングGLを改訂、「エビデンス不足」により判断を保留

 米国予防医療専門委員会(USPSTF)は12月2日、前立腺癌のスクリーニングに関する改訂ガイドラインを発表した。マススクリーニングを「行うべきではない」としていた1996年版ガイドラインを改め、「エビデンス不足」を理由に判断を保留した。実施に当たっては、有益性や有害性に関する確証が得られていないことを、被験者によく説明する必要があるとの見解を示した。

 USPSTFは、米国厚生省(HHS)の下部組織、Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ:医療分野の研究と質向上を支援する部門)の諮問機関。現在、1996年に発表した一連のガイドラインの総合的な見直しを進めている。ガイドラインの全文と、根拠となった臨床研究の解析結果は、Annals of Internal Medicine誌12月3日号に掲載された。

 検討対象となったスクリーニング手法は、直腸指診(DRE)と前立腺癌特異抗原(PSA)検査だ。今回の検討では、両手法とも前立腺癌を早期に(臨床症状が出る前から)発見できるエビデンスがあり、精度はPSA検査の方が高いと結論。しかし、早期に前立腺癌を発見することが、前立腺癌による死亡を減らすとの確たるエビデンスは、未だ得られていないとした。

 また、仮に前立腺癌スクリーニングが有用であるとわかった場合、最も利益があるのは、50〜70歳の男性と、45歳以上のハイリスク者(アフリカ系または家族歴保持者)であると指摘。一方、前立腺癌の罹患率が低い人種(アジア系・ヒスパニック系)や、余命が10年未満と考えられる人(高齢者・重大な疾患への罹患者)では、前立腺癌検診の有用性は相対的に低くなるとの見方を提示した。

 米国では、PSA検診の有用性を検証する無作為化試験が進められており(関連トピックス参照)、欧州でも同様の試験が進行中。こうした試験や、PSA検診で早期癌とわかった人に対する「経過観察か積極治療か」の無作為化比較試験が、前立腺癌スクリーニングの有用性を明らかにする上で役立つとガイドラインでは提言している。

 なお、厚生労働省のがん検診評価委員会が昨年12月にとりまとめた「新たながん検診手法の有効性の評価」では(関連トピックス参照)、今回のUSPSTF改訂ガイドラインと同様、PSA検診の有効性に関して判断を保留している。

 このガイドラインのタイトルは、「Screening for Prostate Cancer: Recommendation and Rationale」。現在、こちらで全文を閲読できる。根拠となった網羅的レビュー、「Screening for Prostate Cancer: An Update of the Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force」は、こちらまで(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

 なお、AHRQホームページ上の、「Screening for Prostate Cancer」からも、ガイドラインや関連情報を入手できる。

■関連トピックス■
◆ 2002.10.11 前立腺癌のPSA検診はやはり意味がない?、米の長期観察研究結果が発表
◆ 2001.12.21 続報】ガン検診の有効性を死亡率減少効果の有無で判定

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