2002.12.10

重症発作の喘息患者、日中の気温が上がらない日に増加

 東京都内では、発作で救急搬送される成人喘息患者の数は増え続け、ここ20年間でおよそ2倍になっているが、季節的には毎年9〜11月までの秋の期間がピークとなる傾向は全く変わらない。そこで、気象や大気汚染などの要因から喘息の発作頻度の予測が可能かどうかについて検討したところ、朝に比べて日中の気温が上がらない、あるいは逆に日中の気温の方が朝より低くなった時に、重症発作で救急搬送される患者の頻度が極めて高くなることが明らかになった。これは、日本気象協会気象情報部の村山貢司氏の調査によるもので、第52回日本アレルギー学会総会の一般演題で報告された。村山氏は、「日中の気温差など、発作に影響を与えるいくつかの要素を利用すれば、予測は可能になるだろう」と話している。

 調査対象は、過去20年間に都内(小笠原諸島、伊豆諸島を除く)で重症発作を起こし、救急搬送された成人喘息患者。気象因子として気温、湿度、気圧、風速を、また大気汚染物質として窒素酸化物、硫黄酸化物、大気中の浮遊粒子(SPM)などとの関係を検討した。特に秋に患者が多いことから、台風の通過前後に患者が増えるかどうか、その変動について調べた。さらに、秋から冬場にかけてよく起こる逆転層(地上の気温が上空数百メートルの気温より低くなる現象)の出現時と患者数の関係についても検討した。

 この結果、台風の通過前後と救急搬送される喘息患者数の増加には、特に有意な関係は認められなかった。一方、逆転層の出現時には、重症発作の患者が著しく増えることがわかった。逆転層が起きると、地上付近の気温が大幅に下がるだけでなく、大気汚染物質が滞留することが知られている。そこで、SPMと患者数の関係を見てみたが、両者の間には全く有意な関係は見られず、その他の大気汚染物質に関しても、単一の因子としては、喘息の発作に影響を与えると認められたものは一つもなかった。このことより、むしろ気温の方が関係していると考えられた。

 実際、気象因子についての検討では、夜間や朝方の気温と日中の気温の差が小さかったり、日中の気温の方が朝よりもむしろ低くなった場合に、発作の頻度が極めて高くなるケースが多く認められた。気圧配置のパターンと発作頻度の検討でも、日中の気温が上がりにくい、北高南低型の天気図で患者の増加が著しかった。

 これらの結果を基に、村山氏は、気温の日変化や逆転層の出現などの因子を加味して喘息発作頻度の予測値を算出し、実際の患者数と比べてみたところ、「日によっては外れもあるが、全体として傾向をかなりうまく表現することができた」としている。(瀬川博子、日経メディカル開発

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