2002.12.06

レート・コントロールはリズム・コントロールに劣らない−−ACC学会で注目の2臨床試験、原著論文がNEJM誌に掲載

 心房細動(AF)の治療戦略を大きく変える潜在力を持った二つの臨床試験結果が、New England Journal of Medicine(NEJM)誌12月5日号に掲載された。いずれも、今年3月の米国心臓学会(ACC)で発表され、大きな注目を集めた試験。高齢者のAFの標準治療に「レート・コントロール」を採用する根拠となる結果で、今後のガイドライン改訂に大きな影響を与えそうだ。

 この試験は、北米で行われた「AFFIRM」(the Atrial Fibrillation Follow-up Investigation of Rhythm Management)試験と、欧州で行われた「RACE」(Rate Control vs. Electrical Cardioversion for Persistent Atrial Fibrillation)試験(関連トピックス参照)。試験の規模や1次評価項目などに多少の違いはあるが、どちらも高齢AF患者を対象に心拍数の適正化(レート・コントロール)と洞調律化(リズム・コントロール)とを比較しており、標準治療であるリズム・コントロールと比べてレート・コントロールが劣らないことを示した。

 注目すべきなのは、虚血性脳血管障害の発症率が、両試験とも両群に違いがなかったことだ。AFがある高齢者では、一般に虚血性脳血管障害を起こしやすいが、そのメカニズムは心房の細動によってできた血栓が脳に“飛ぶ”ためと考えられている。心房が細動したままのレート・コントロール群より、細動を抑え洞調律を保つリズム・コントロール群の方が、脳卒中の発症率が下がると考えるのが自然だが、今回得られた結果とは相反する。

 この点について、両論文に対する論説(editorial)「Management of Atrial Fibrillation -- Radical Reform or Modest Modification?」を執筆したBoston大学のRodney H. Falk氏は、「リズム・コントロール下でも一過性で無症候性のAFがかなり高い確率で起こっていると考えられ、それが今回の対象患者における虚血性脳血管障害を引き起こしたのでは」と考察している。

 また、今回得られた試験結果を臨床応用する際の注意点として、Falk氏は「試験対象の大半が、いわゆる再発性のAFであることを考えると、この結果を初発AF患者にそのまま当てはめられるかは不明」と強調。AFと初めて診断された患者に対しては、まず症状と心合併症を注意深く観察し、リズム・コントロールを試みる。その上で、AFが再発し、かつ無症候性であった場合のみレート・コントロールへスイッチするのが合理的であり、いずれの戦略を取るにせよ抗凝固療法は必須だと提言している。

 「AFFIRM」試験の原著論文のタイトルは、「A Comparison of Rate Control and Rhythm Control in Patients with Atrial Fibrillation」。アブストラクトは、こちらまで。「RACE」試験の原著論文のタイトルは、「A Comparison of Rate Control and Rhythm Control in Patients with Recurrent Persistent Atrial Fibrillation」。アブストラクトは、こちらまで。

■関連トピックス■
◆ 2002.3.19 再掲】ACC'02速報】心房細動の治療戦略やクラミジア除菌の位置付けが明確化−−LBCT 1より

■参考トピックス■
◆ 2002.11.18 AHA2002速報】AFの2治療戦略、レート・コントロールはリズム・コントロールより低コスト−−RACE試験より

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