2002.11.28

急性腎不全患者への利尿薬投与、かえって予後を悪化か

 多くの医療機関でルーチンに行われている、急性腎不全患者への利尿薬投与が、かえって予後を悪化させている恐れがある−−。そんなショッキングな研究結果が、Journal of American Medical Association(JAMA)誌11月27日号に掲載された。集中治療室(ICU)で加療中の急性腎不全患者を対象とした解析で、原疾患や年齢、腎機能などで補正後も、利尿薬投与を受けた患者では「死亡または腎機能廃絶」のオッズ比が1.77倍になったという。

 解析対象は、米国California大学の関連4医療施設のICUに入院した、急性腎不全患者552人。腎臓専門医への照会があった際に、既に利尿薬投与を受けていた326人(59%)と、その時点では利尿薬が投与されていなかった226人(41%)との間で予後を比較した。

 利尿薬投与を受けていた患者の平均年齢は58.1歳で、未投与患者の53.8歳より高齢。心不全合併率(45%対33%)が高く、腎毒性の急性腎不全比率も高かった(19%対12%)。利尿薬投与患者の平均尿素窒素(BUN)値は61.6mg/dl、クレアチニン値は3.6mg/dlで、未投与患者(順に72.3mg/dl、4.1mg/dl)より有意に低かった。

 研究グループは、こうした患者背景の違いなどでデータを補正後、利尿薬投与の有無で転帰を比較した。すると、院内死亡率で1.68倍、腎機能の廃絶(無回復)率で1.79倍、両者を併せた確率では1.77倍も、利尿薬投与を受けた患者の転帰が悪いことがわかった。1週間以内に死亡した患者を除いた解析では、このオッズ比は3.12倍にまで上がった。

 次に研究グループは、利尿薬への反応の有無で利尿薬投与患者を分けて、同様の解析を行った。その結果、利尿薬に反応した患者では未投与患者とほぼ経時的な転帰が同じだったが、利尿薬に反応しなかった患者では、未投与患者より早期から大幅に死亡・腎機能廃絶率が高いことが判明した。

 この結果について研究グループは、利尿薬が直接、予後に悪影響を与えている可能性のほか、利尿薬投与により“薬に反応するかを待って透析導入が遅れる”ことが結果的に予後を悪くしているとの見方を提示。これらの点が無作為化試験で確認されるまでは、急性腎不全を呈したICU患者への、安易な利尿薬投与は慎むべきと提言している。

 この論文のタイトルは、「Diuretics, Mortality, and Nonrecovery of Renal Function in Acute Renal Failure」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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