2002.11.25

頭部CTと腰椎穿刺で出血所見なし、しかし脳動脈瘤の破裂はあった症例

 頭部CTと腰椎穿刺で出血所見がなかった脳動脈瘤破裂の症例が報告された。山口クリニックの山口三千夫氏(写真)が23日、一般口演で発表した。

 症例は、62歳の女性で、数年来の頭痛があったため、通院で鎮痛剤投与などが行われていた。来院前日から通常の痛みとは全く異なった強い頭痛が起こり受診した。来院前日に家族と口げんかをした後、通常の頭痛より激しい頭痛を自覚したという。来院時には、「いつもとは違った強い頭痛がする」と訴えたので、緊急に頭部CT、腰椎穿刺を行った。

 しかし、頭部CTには出血所見は全くなく、入院し腰椎穿刺を行ったが髄液は水様透明で圧上昇もみられなかった。念のためにMRA検査を施行したところ、前交通動脈の動脈瘤が疑われた(この時点では、今回の頭痛はくも膜下出血とは別のものであり、また動脈瘤も未破裂のものと考え、日をあらためて脳血管造影をするに至った)。

 その後も頭痛は続き、本人や家族も動脈瘤の手術を希望したため、血管造影を行った上で、発症2週間後に開頭術(動脈瘤にクリッピング施行)を行った。手術所見では、直径4mmの動脈瘤が厚いくも膜の癒着による小スペースの中に認められており、限局性の血腫がみられた。

 術後の経過は順調で、独歩で退院した。また、数年来の不定の頭痛は「全く消失した」(山口氏)という。

 山口氏は、脳動脈瘤からの少量の出血のため限局性の癒着性くも膜炎があったと考察。この小スペース内に出血があったため、来院の原因となった激しい頭痛につながったとした。小スペースでの出血のため、頭部CTに出血所見がなく、また腰椎穿刺でも出血所見はなかったとの見解を示した。

 最後に山口氏は、文献的には196例のくも膜下出血を疑わせる頭痛症例に対して、頭部CTと腰椎穿刺を行ったところ3例で脳動脈瘤を認めている報告を紹介。このうち2例はCTで出血が疑われ、もう1例では腰椎穿刺で髄液の黄色調を認めたものだという。

 今回の症例は、頭部CTでも腰椎穿刺でも出血が確認されなかった動脈瘤であったわけで、山口氏は「今後のくも膜下出血の診断の際には心にとめるべきこと」と締め括った。
 

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