2002.11.22

【AHA2002速報】 補助人工心臓の保険適用を訴える、心移植と費用は変わらず

 米国心臓協会(AHA)は11月19日(現地時間)、「Ventricular Assist Devices will change heart failure forever」と題した記者会見を行った。うっ血性心不全(CHF)患者に対する補助人工心臓(VAD)の使用を、医療保険の対象とするかどうかを検討するよう社会に広く呼びかける目的に行ったもので、米国New York市にあるColumbia-Presbyterian医学センターのMehmet C. Oz氏らが、CHF患者の現状や治療法、VAD植え込み術の費用や生存期間などを説明した。

 CHFは、米国では400〜500万人が罹患しており、その数が増えつつある疾患。この10年間、メディケア(米国の高齢者医療保険制度)対象者の主要な入院理由となっており、年間300億米ドルを超える費用がかかっているという。現在は、投薬と運動療法が中心だが、「病気が重症化すると、息切れ、むくみ、疲労感といった症状を改善できなくなるので、新しい治療法が求められている」と述べた。

 VADに要する費用については、米国立衛生研究所(NIH)と米国Thoratec Corporation社の資金提供の下、多施設共同で実施しているREMATCH(Randomized Evaluation of Mechanical Assistance for Treatment of Congestive Heart failure)試験でのデータを紹介。今回のAHAの学術集会で発表しているが、メディケアの資料が入手できた49人のデータを解析すると、VADの植え込みに伴う全入院費用(VADの費用約6万米ドルを含む)の平均は20万2375米ドル、中央値は14万1835米ドルだった。心臓移植の総費用の平均が約20万米ドル、同じく肝臓移植が約25万米ドル(ともに臓器の入手費用を含む)であることを紹介し、既に保険の支払対象となっている他の先端医療と費用面でほとんど変わらないことを強調した。

 入院期間を長くする因子として、多変量解析の結果、敗血症、バイパス時間、動力伝達装置に起因する感染症などが有意な因子として浮かび上がった。これについては、感染症の予防やバイパス時間の短縮は今後改善できると考えられ、それに伴い、入院期間が短縮され、費用を抑えられるとしている。

 一方、生存率については、昨年のAHAの学術集会で発表した内容だが、VAD植え込み患者と薬物療法の患者で比較すると、1年生存率はそれぞれ52%と25%、2年生存率は23%と8%で、VADの方が上回っていることを説明した。

 最後に、Oz氏は、「今回のデータは、VAD植え込み術に要する費用を初めて調べたもの。社会として、投資する価値があるかどうかを検討しなければならない問題」と述べ、CHF患者に対する新しい治療法の是非を考えるよう訴えた。

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