2002.11.18

【AHA2002速報】 糖尿病合併者の高血圧管理は不十分、米の民間保険加入者調査で判明

 米国の民間保険会社11社が共同で行った調査で、糖尿病を合併した高血圧患者では、目標降圧値に達していない人の比率が非合併者の約3倍になることがわかった。一方、心不全や脂質代謝異常、脳卒中の合併者では、こうした疾患を合併していない人より血圧管理が有意に良好だったという。調査結果は、米国Touchpoint Health Plan社のBarb Lennert氏らが、11月17日のポスターセッションで報告した。

 Lennert氏らは、民間保険会社11社のマネジド・ケア(前払い集団保険方式の民間医療保険)加入者、約210万人分のレセプトを検索。1998年6月から2001年7月までの約3年間に高血圧治療を受けた30万2315人から、6513人を無作為に抽出し、カルテを調べて高血圧以外の合併症と血圧値などとの関連性を検討した。

 解析対象者の約55%は女性で、平均年齢は60.5歳。血圧が治療目標値にまでコントロールされていたのは39%(2510人)だった。合併症で最も多いのは脂質代謝異常(47.5%)で、糖尿病(21.3%)、狭心症(11.3%)、冠動脈疾患(8.4%)が続いた。心血管疾患の危険因子という観点では、「男性・閉経後女性」が63.3%と最も多く、次いで「60歳以上」の49.2%、脂質代謝異常(47.5%)、冠動脈疾患の家族歴(28.1%)の順だった。対象者が持つ危険因子数は平均2.49となった。

 次に研究グループは、血圧値が目標値に達しない「コントロール不良」のオッズ比を、これらの危険因子別に算出した。すると、糖尿病の合併者ではオッズ比が3.10と、他の危険因子保持者に比べ大幅に高いことが判明。一方、心不全(オッズ比:0.67)や脂質代謝異常(同:0.88)、脳卒中(同:0.79)の合併者では、血圧管理状態が有意に良好だった。これら以外の危険因子では、血圧管理状態との間に有意な相関はなかった。

 糖尿病合併者だけで極端に血圧管理状態が悪いとの結果だが、Lennert氏は「最大の理由は、糖尿病では一段厳格な血圧管理値が設定されていることではないか」と考察。「ガイドラインを知らない医師や、知っていても賛成しない医師は少なくない。治療が不十分になるのは、薬への忍容性など患者側の要因もあるだろうが、脂質代謝異常や心不全などと比べ、糖尿病は“心血管疾患の危険因子”として医師に十分認識されていない恐れもある」と分析する。

 Lennert氏は「この状況の改善には、医師側への働きかけよりも、むしろ患者側、つまり被保険者に情報を提供し、十分な降圧管理を行うよう医師を促してもらう方がより効果的だろう」と述べた。

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