2002.11.14

ボケ予防にはワイン、ビールは逆効果か

 ワイン好きにはうれしい、そしてビール好きにはちょっとショックな調査結果が発表された。デンマークのお年寄り約1700人を対象とした調査で、ワインを飲む習慣がある人には痴呆が少なく、逆にビールでは多いことがわかったという。ワインとビールの飲酒パターンの違いや、ワインに含まれる特定の成分などが影響していると研究グループはみている。調査結果は、米国神経学会の学術誌であるNeurology誌11月12日号に掲載された。

 調査ではまず、デンマークのCopenhagenに住む65歳以上のお年寄り1711人に「ミニメンタル検査」(MMSE)と呼ばれる認知機能試験を受けてもらい、痴呆かどうかを診断。さらに、過去15年間の飲酒習慣や、飲むアルコールの種類などを調べて、痴呆とアルコール摂取との関係を分析した。

 試験の結果、痴呆と診断された人は83人で1626人は正常だったが、1週間で飲むアルコールの量そのものは痴呆かどうかで変わらないことが判明。ところが、痴呆の人の6割に全くワインを飲む習慣が無いのに対し、痴呆ではない人では4割しかワインを飲まない人がいなかった。喫煙習慣や血圧、脳卒中になったことがあるかなど、痴呆の発症に影響し得る様々な因子で補正すると、ワインを飲む人は飲まない人よりおよそ2倍痴呆になりにくいことがわかった。

 逆にビールについては、こうした因子で補正して計算すると、「月に何度か飲む」人ではおよそ2倍、全く飲まない人よりも痴呆を発症しやすいことが明らかになった。「週に何度か飲む」人でも、痴呆の発症率が高い傾向が認められた。ウィスキーなどの蒸留酒でも、飲む人の方が飲まない人より痴呆発症率が高い傾向があった。

 なぜビールを飲む人で痴呆が増える計算になるのかは不明だが、「ワインは食事と共にたしなむことが多いのに対し、ビールは(飲み会など)特別な機会でそれだけを大量に飲むことが多く、そうした“飲酒パターンの違い”が影響しているのでは」と研究グループはみる。一方のワイン、特に赤ワインには、老化を防ぐとされる抗酸化成分のフラボノイドが含まれており、こうした成分が「痴呆の発症を防ぐ方向に働いた可能性がある」と研究グループは考察している。

 この論文のタイトルは、「Amount and type of alcohol and risk of dementia: The Copenhagen City Heart Study」。アブストラクトは、こちらまで。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. ズバリ!up to date問題の出題のヤマはこ… 総合内科専門医試験 「一発合格」への道 FBシェア数:39
  2. 診療拒否が違法か否かを判断する「3つの要素」 裁判官が語る医療訴訟の実像 FBシェア数:143
  3. 大阪北部で地震発生! 救急医の1日 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:175
  4. 85歳の癌患者に標準治療を行いますか? リポート◎高齢癌患者の治療適否は予後とQOLへの影響で判断 FBシェア数:147
  5. 某球団の熱烈ファンを狙った医師採用戦略 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」 FBシェア数:212
  6. 50歳男性、夜中の意識障害、痙攣 日経メディクイズ●心電図 FBシェア数:0
  7. 食べられない高齢者にはこう介入する Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:174
  8. 患者トラブルの背後に隠れていた「虐待」 なにわのトラブルバスターの「患者トラブル解決術」 FBシェア数:55
  9. プライマリ・ケア連合学会が成人までカバーしたワク… 学会トピック◎第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 FBシェア数:107
  10. 身体障害を克服して信玄に仕えた 山本勘助 病と歴史への招待 FBシェア数:1
医師と医学研究者におすすめの英文校正