2002.10.25

【日本公衆衛生学会速報】 歯科用QOLを試作、疼痛と摂食障害の影響が大きく

 大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学の佐藤満氏らは、開発を試みた口腔関連QOL(OHRQOL:Oral Health Related Quality Of Life)アセスメント表を取り上げ、その内容と結果について解説した。日本公衆衛生学会の一般口演「QOLの尺度開発」において、10月24日に発表した。歯科分野では多くの評価指標があるものの、量的な評価が多く、生活の質(QOL)のような質的な側面からの評価指標は少ないという。

 OHRQOLの開発手順は、回答者に対して、4項目の口腔健康状態を具体的に提示し、個々の状態をアナログ・スケールで評価してもらい、結果(スコア)を統計的に解析するというもの。アナログ・スケールは、想像できる最も良い歯や口の健康状態を100、最も悪い健康状態を0とした。回答者は、首都圏と関西圏に住む20歳から69歳までの1024世帯2088人(男性943人、女性1145人)。

 今回のOHRQOLの測定項目として、摂食、疼痛、口臭、審美の4項目で、それぞれ3段階の口腔の健康状態を設定した(レベル1が良く、レベル3が悪い)。具体的には、摂食のレベル1は「何でも食べられる」、レベル2は「固いものが食べられない」、レベル3は「柔らかいものしか食べられない」、疼痛のレベル1は「痛い歯やしみる歯がない」、レベル2は「我慢できる範囲の痛い歯やしみる歯がある」、レベル3は「とても痛く我慢できない歯がある」。

 また、口臭のレベル1は「口が臭くない」、レベル2は「たまに他人から口が臭いと言われることがある、自分で気になることがある」、レベル3は「いつも人から口が臭いといわれ、自分でも臭いと思う」、審美のレベル1は「白い歯である」、レベル2は「歯が黄色くなっており、やや汚れている」、レベル3は「歯が黒く、とても汚れている」。

 この場合、想定される健康状態のパターンは81(=3の4乗)種類だが、アンケート調査で提示したパターンはランダムに選択した25種類のみ。

 アンケートの結果を解析すると、OHRQOLに最も低下させていたのは、疼痛のレベル3で、18.45ポイント下げていた。以下、摂食のレベル3(15.36ポイント減)、口臭のレベル3(13.42ポイント減)、摂食のレベル2(12.04ポイント減)、審美のレベル3(10.07ポイント減)、疼痛のレベル2(7.36ポイント減)、口臭のレベル2(4.88ポイント減)と続いた。

 佐藤氏は、この結果を踏まえて、「疼痛はOHRQOLに最も変動を与える重要な要因であり、摂食機能は軽度の障害であっても、大きくOHRQOLを低下させる」との解釈を示した。また、会場参加者から、「入れ歯にすることを良いとするか、悪いとするかをはっきりさせる必要があるのでは」との質問を受け、「今後検討すべき課題」と答えた。

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