2002.10.21

【日本高血圧学会速報】 高血圧症と診断される患者の1割が2次性、初診時の鑑別診断が重要

 外来初診において、高血圧症と診断される患者の約1割は2次性高血圧症であり、そのうち6割の患者は、外科的治療により治癒することができたとの報告があった。横浜労災病院内分泌代謝内科の大村昌夫氏らが10月11日、日本高血圧学会の一般口演で発表したもの。

 今回対象としたのは、1995年から1999年にかけて同病院内科を初診で訪れ、血圧が150/90mmHg以上だった高血圧患者1020人。ただし、クレアチニン値が1.5mg/dl以上の腎機能障害患者、3カ月以内に冠動脈疾患と脳血管障害を発症している患者、2次性高血圧症の診断が確定した患者は除いている。

 1次スクリーニング検査では、安静臥床30分後に臥位で採血を行い、アルデステロン、レニン活性、コルチゾール、血漿カテコラミンを測定。また、腹部超音波検査で副腎腫瘍の有無を検討した。

 また、2次検査においては、低レニン性高アルデステロン血症を示した場合はフロセミド-立位試験を、高レニン性高アルデステロン血症はカプトプリル負荷レノグラフィーを、高コルチゾール血症はデキサメサゾン抑制試験を、高カテコラミン血症は尿中カテコラミン測定をそれぞれ行った。また、超音波検査で副腎に異常所見があれば、先の四つの検査をすべて実施した。さらに、1次検査で異常があった場合、腹部CTを全例施行している。

 その結果、2次性高血圧症として、原発性アルデステロン症が61例(6.0%)、クッシング症候群が11例(1.1%)、プレクリニカルクッシング症候群が10例(1.0%)、褐色細胞腫が6例(0.6%)−−など、計97例(9.6%)が発見された。従来の報告と比較して、「原発性アルデステロン症やクッシング症候群、褐色細胞腫など手術で治る2次性高血圧症が、高い頻度で見つかった」(大村氏)という。

 それぞれのスクリーニング検査の感度と得意度については、以下の通り。1次検査の場合、低レニン性高アルデステロン血症が1.00と0.94、高レニン性高アルデステロン血症が1.00と0.98、高コルチゾール血症が0.91と0.99、高カテコラミン血症が0.83と0.96、腹部超音波検査が0.42と1.00だった。腹部超音波検査だけは感度が低いが、「他の検査ではひっかからず、超音波検査だけで見つかった副腎腫瘍病変が10例(0.1%)あったため、できれば加えたい検査」との考えを示した。

 2次検査の場合、フロセミド-立位試験が1.00と0.70、カプトプリル負荷レノグラフィーが1.00と0.94、デキサメサゾン抑制試験が1.00と0.82、尿中カテコラミン測定が0.83と0.98、腹部CT検査が0.63と1.00だった。腹部CT検査の感度が低かったのは、原発性アルデステロン症の微少な病変がほとんど見つけることができなかったためと大村氏は説明し、「スクリーニング検査としては不適当で、精密検査とすべきだろう」と語った。

 なお、治療成績については、外科的治療などを行った77人のうち、完全な治癒が58人、降圧薬の減量が可能になった改善が18人で、治癒可能な症例が多かった。

 最後に、大村氏は、「2次性高血圧症の鑑別診断を行うために、初診時のスクリーニング検査は重要である」と強調した。


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