2002.10.17

【日本高血圧学会速報】 食後高血糖と高血圧の合併で心血管疾患死亡リスク高まる

 食後2時間以内の血糖値上昇は心血管疾患の有意な危険因子であり、高血圧と食後高血糖が合併すると死亡リスクが有意に高まることが判明した。NIPPON DATA解析グループが、1980年循環器疾患基礎調査成績の追跡研究(NIPPON DATA 80)を使って、高血圧と食後高血糖の合併と循環器疾患死亡の関連を検討した結果による。同グループの一員である札幌医科大学第二内科の斎藤重幸氏が10月12日、日本高血圧学会の一般口演で発表した。

 糖尿病や耐糖能異常が高血圧に合併しやすいことは知られており、食後高血糖が虚血性心疾患や脳梗塞といった動脈硬化性疾患の独立した危険因子であることも報告されている。日本人では、食習慣の変化などにより、2型糖尿病や耐糖能異常が増えてきているが、耐糖能異常と高血圧が合併した場合における、心血管疾患の予後についての疫学的な検討は少ない。

 同グループは、1980年循環器疾患基礎調査客体で、その後19年間における生死と死因が把握できた9638人(追跡率91.4%)のうち、食後2時間以内の随時血糖値が測定されている男性930人(平均年齢49.8歳)、女性1403人(同50.4歳)の計2333人のデータを使って、予後について検討した。エンドポイントはすべての脳卒中と心疾患による死亡であり、国際疾病分類(ICD-10)における09000〜09500としている。

 なお、基礎調査の時点で、糖尿病の治療歴がある人や随時血糖値が200mg/dl以上の人は、解析対象から除外されていて、糖尿病患者は解析対象に含まれていない。また、高血圧患者は、収縮期血圧140mmHg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上の患者、あるいは降圧薬服用者とした。

 血糖値によって対象者を五つの群に等分したところ、血糖レベルが高くなるにつれ、女性の割合が下がり、年齢と血圧値は上がる傾向にあった。降圧薬服用者を除き、年齢と性で調整しても、血糖レベルの上昇に伴い、血圧値は有意に上昇していた。なお、第1分位は血糖値が116mg/dl未満、第2分位は116mg/dl以上128mg/dl未満、第3分位は128mg/dl以上140mg/dl未満、第4分位は140mg/dl以上156mg/dl未満、第5分位は156mg/dl以上200mg/dl未満だった。

 次に、食後2時間後までの随時血糖値の5分位における高血圧と循環器死亡について調べた。19年間の心血管疾患の粗死亡率は第1分位から順に2.5%、7.4%、5.7%、9.6%、8.1%で、第2分位から増加。年齢、性、喫煙、総コレステロール値、収縮期血圧値、体脂肪指数(BMI)などを説明変数として、Cox回帰分析したところ、心血管死亡の有意な説明変数となり、危険因子であることがわかった。

高血圧かつ食後血糖値140mg/dl以上の場合、死亡リスクは2.23倍

 血糖値116mg/dl以上(第2分位以上)を食後高血糖とした場合、年齢や性、BMI、喫煙、心血管疾患の既往歴などで補正したCoxハザードモデルによる心血管疾患死亡の相対危険率は、正常な人(高血圧でも食後高血糖でもない人)を1とすると、高血圧だけの人は1.50、食後高血糖だけの人は1.83だが、高血圧と食後高血糖を合併した人は3.18となり、合併すると死亡リスクがより高まることが確認された。

 また、血糖値140mg/dl以上(第4分位以上)を食後高血糖とした場合、同様に相対危険率を求めると、食後高血糖だけの人は0.96、高血圧だけの人は1.56だが、両者を合併した人は2.23と、両者を合併すると死亡リスクはやはり高かった。

 以上から、斎藤氏は、「高血圧と食後高血糖の合併は、循環器疾患死亡の有意なリスクになることが示された」と述べ、「高血圧診療の際には、食後高血糖への対応が必要であると考えられる」と、注意を呼びかけた。


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