2002.10.15

【日本高血圧学会速報】 ヒトES細胞は、マウスES細胞と異なる点が非常に多い――教育講演より

 日本高血圧学会の初日に行われた教育講演1「再生医療」では、京都大学の伊藤裕氏や関西医大の松原弘明氏、慶応大学の福田恵一氏らが登壇、再生医療研究の現状をそれぞれの立場からレビューした。そのうち伊藤氏(写真)は、「生活習慣病と再生医療」のテーマで講演。再生医療においては、SEED(種子)とSOIL(土壌)の双方が重要と指摘、血管再生分野で進んでいる遺伝子治療の実際や日本独自に開発された自己骨髄移植療法などの動向を紹介した。その中で、自らの研究成果を元に、「ヒトES細胞はマウスES細胞と異なることが分かってきた」と発言、関係者の注目を集めた。

 伊藤氏らは、マウスES細胞から内皮細胞と血管平滑筋細胞の双方に分化する血管前駆細胞(vascular progenitor cells、VPC)を見出し、すでに試験管内と生体内で血管を作ることに成功している。その上で、ヒトES細胞による研究にも取り組んでいるが、これまでの知見から、「マウスES細胞とは異なる点が非常に多いことが分かってきた」と言及したもの。この点に付いては特に、「ES細胞の臨床応用には、ヒトES細胞の研究が極めて重要」とも強調した。フロアからは「マウスES細胞の研究データがヒトには応用できないということか」と質問が出たが、これに対しては基本的な情報に限るとの見方を示した。

 講演で伊藤氏は、SEEDは多分化能を持つ前駆細胞あるいは幹細胞で、SOILはさまざまな分化誘導因子(サイトカインやホルモンなど)と定義。血管再生医療で取り組まれているVEGFやHGF遺伝子治療は、「血管再生の土壌をよくする治療法である」と説明した。また、臨床応用が始まっている自己骨髄移植療法も、「骨髄血球細胞が分泌する多彩なサイトカインが血管育成の土壌作りに働き、臨床効果をもたらしている」と紹介した。同時に伊藤氏らの研究によれば、血管ホルモンが血管再生に対しても促進的に作用することを示す証拠が得られているとし、「その血管再生医療への応用が期待される」と発言した。

 SEED側については、ES細胞(Embryonic Stem cells、胚性幹細胞)からの組織前駆細胞の同定単離とその維持培養が実現したことにより「爆発的に進展しつつある」と指摘。造血幹細胞に限らず、神経や筋肉の再生に関わる幹細胞(体細胞由来幹細胞)が生後の生体内にも存在するという研究成果は、再生医療の夢を大きく膨らませていると紹介した。

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