2002.10.15

【日本高血圧学会速報】 難治性狭心症への骨髄系体細胞移植、臨床試験を世界的規模で実施へ

 難治性狭心症に対する再生医療で、日本や米国、韓国やマレーシアなどの施設が参加する臨床試験が2003年からスタートすることになった。米国ワシントン循環器病センターは10月にも米国食品医薬品局(FDA)から承認される見通しで、韓国サムソン病院やマレーシア国立医療センターも各国当局に申請中だという。すでに難治性狭心症に対する再生医療に取り組んでいる関西医科大学の松原弘明氏が、日本高血圧学会の教育講演1「再生医療」の中で明らかにした。

 松原氏らも参加する研究グループは2000年6月から、閉塞性動脈硬化症、バージャー病などの虚血肢の症例に対して、自己骨髄単核細胞を利用した血管新生療法(TACT;Trial for Therapeutic Angiogenesis Using Transplantation)を実施している。関西医科大学のほか、久留米大学、自治医科大学も参加し、これまでフェイズ1試験(25例)と多施設無作為化二重盲験試験(20例)の二つの試験が行われ良好な結果が得られている。今年の7月19日には、厚生労働省の高度先進医療に申請済みだ。

 松原氏らは、この血管新生療法をほかの疾患にも拡大。2001年12月には、今回の臨床試験の先行例となる難治性狭心症の患者に対する移植を行っている。

 症例は64歳の男性で、心筋梗塞歴があり、冠動脈血行再建術(CABG)2回、インターベンション(PCI)5回の経験があるクラス4の狭心症だった。骨髄細胞500ccを採取し単核球分画を分離、これを開胸下で心臓虚血部に移植した。

 その結果、移植2カ月後には、クラス4がクラス1(胸痛完全消失)に改善、心機能も左心室造影でみた収縮率が42%から53%に回復、不整脈は減少したという。血管造影では側副血行の増生を認めていない。現在も経過観察中だが、改善傾向は保たれているという。

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