2002.10.12

【日本高血圧学会速報】 減量による降圧、飽和脂肪酸の摂取量減少が鍵に

 「食事中の脂質を減らす」という食事療法で、体重だけでなく血圧も下がった人では、脂質のうち飽和脂肪酸のみを減らしていたことがわかった。肥満気味の中高年女性135人を対象とした3カ月間の介入試験による。降圧も視野に入れた減量を行う場合は、ただ脂質を減らすだけではなく、脂質の質も含めた食事指導が重要と言えそうだ。この研究結果は、中村学園大学栄養科学部の伊藤和枝氏らが、10月11日の一般口演で発表した。

 伊藤氏らは、特に降圧薬などを服用しておらず血糖値も正常範囲の、肥満気味の健常女性135人を対象に、栄養と運動による減量指導を実施。3カ月後の体重や血圧などを評価した。参加者の平均年齢は47歳で平均体格指数(BMI)は29.2。平均血圧はおよそ130/70mmHgだった。

 この介入で、3カ月後の体重は平均3.0kg減少。しかし、血圧が下がったのは全体の3分の2の人だけだった。血圧が下がった人では、平均血圧で9mmHgの有意な低下が認められたが、下がらなかった人では逆に2mmHg上昇していた。血圧が下がった人と下がらなかった人とで、体重の低下幅に違いはなく、運動量も同程度だった。

 同じようにやせたのに、血圧が下がった人と下がらなかった人とでは何が違うのか−−。そう考えた伊藤氏らは、血中インスリン値やインスリン抵抗性指数(HOMA)を測定した。すると、血中インスリン値(糖負荷試験後2時間までのインスリン値の総和=ΣIRI)は両群とも下がっていたが、HOMAは降圧群でのみ下がっており、非降圧群では介入前とほとんど変わらなかった。

 そこで伊藤氏らは、食事中の脂質量や脂質の質をチェックした。すると、両群とも食事指導の後は、脂質量をほぼ4分の1減らしており、血圧が下がった人では主に飽和脂肪酸を減らしていた。ところが、血圧が下がらなかった人では、飽和脂肪酸だけでなく不飽和脂肪酸の摂取量も減らしていたことがわかった。

 さらに、別の健常女性群に連続8日間、飽和脂肪酸比率の高い高脂肪食(SMP比が5:4:1、総エネルギーに占める脂質比率30%)を食べてもらったところ、インスリン抵抗性が有意に上昇することが確認できた。インスリン抵抗性の上昇には、飽和脂肪酸の摂取量が、総エネルギーよりも強く関与していたという。

 肥満による血圧上昇にはインスリン抵抗性の亢進が関与しているとされるが、「インスリン抵抗性を改善して血圧を下げるためには、単に食事中の脂質比率を減らして総エネルギーを下げるより、脂質のうち飽和脂肪酸の比率を減らす方が有効ではないか」と伊藤氏は述べた。


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 MedWaveは日本高血圧学会の開催を機に、「高血圧治療に関する調査」を実施しています。医療現場の第一線で活躍されている先生方に、高血圧治療の方法や考え方、降圧薬の処方経験、高血圧治療に関する情報ニーズなどをお伺いし、高血圧治療の実態を明らかにすることを目的としております。調査結果は後日、MedWave上で紹介する予定です。
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